新潟の小さな庭屋が本気で目指す日本一の仕事!第223庭 室内タイル

先日、国道403号線沿いにある道の駅たがみに立ち寄った。
地物が販売されているお店やコンビニが併設されていて駐車場には車が多く止まっている。トイレを利用した際に手を洗うと水が冷たく感じた、早朝だったからだろうか。
子供時代の夏休みに毎年泊まった祖母の家も夏なのに水道の水が冷たかった。祖母は夏は冷たく冬は暖かい水が出ると言っていたが子供ながらになんて都合の良い水道だと感じた。
設備会社に勤める知り合い曰く、郊外は水道管が深く埋設されている事があり気温の影響を受けにくい傾向があるらしい。
聞いて納得もしたが知らないままが良かったようにも思えた。
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①工事前
今日の現場は当店。
リニューアル工事に伴い一室の一部壁面にタイル張りを行う。
下地は合板12mm厚。タイルメーカーの適応下地において合板は厚さ9.5mm以上となっている。おそらく強風等の外圧による想定荷重強度、つまり薄い下地でたわみによる剥離防止の予防と思われる。
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②600角タイル
タイルメーカー、リビエラが展開するデザインタイルメーカー「TERRA」のタイル。グリジオ600×600。
控えめな石の流れ目の模様で磨き仕上げは鏡面と石の中間、半磨きとなっている。
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③タイル寸法
メインディッシュのタイル張りに向けて準備を行う。
モノづくりに限らず人間社会の様々なシーンでゴールに向けての準備の重要性は誰しもがご存じだと思う。しかし、「わかっちゃいるが止められない」のも人間。
仕上がりに問題がある場合はやはり見落としや工程の曖昧さが原因の場合もよくあるので一つ一つの工程を大事にしたい。

下地にタイルの寸法を書き込み事前に割り付けを行う事で端部の切りものや全体の仕上がり確認を行う。
因みに現場でこの工程の曖昧度は高く、よくあるタイルの帳尻が合わなくなるのは有名。当方の場合、しっかり寸法確認して合わない事も。

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④接着剤塗布位置マーキング
タイルメーカーの推奨貼り付け工法に基づき接着位置の雛形を段ボールでかたどり、タイル裏にマーキング。
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⑤大判用エポキシ接着剤
タイルメーカー推奨の二液性の接着剤。混合する事で反応し強力な接着力が生じる。同量を混ぜ合わせるため秤に乗せている。
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⑥混合
木べらを使い混合。
気温23°の状態で張り付け可能時間30分とあるので高温期は手早く行いたい。初見では様子見で多く練らない事も重要だ。当方のような心に余裕のないモノは、落ち着けの掛け声もおススメしたい。
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⑦接着剤塗布
④でマーキングした印に接着剤を塗布。点付けした接着剤の大きさはもちろんだが、それぞれの厚みがまばらになると接着剤の反発力にもムラが生じる。即ちタイルの圧着、圧締(あっせい)にもムラが生じるので塗布量の均一化がポイント。
繰り返しになるが23℃で30分、時間確認も随時となる。


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⑧ビブラート圧着
墨だししたタイル寸法に合わせ、いよいよメインのタイル張り。
振動機によるビブラートで接着剤が良くなじむように圧締。
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⑨プロセス検査
タイル張りは見た目の仕上がりに目を奪われがちだが工事の品質という点では十分な接着、剥離予防がポイントといって過言では無いだろう。しかし、接着はタイルの裏側で行われる為、目視確認できない。心配性にとってはもどかしい。そこで折角張り付けたタイルだが剥いで接着確認するのがプロセス検査となる。
張った物を自ら剥ぎ、また張るのは誰しもが気が進むものでは無いが、確認は注文者だけで無く自身の仕事への安心に繋がる。貼り付け序盤で行いたい。
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⑩接着材部分付け圧着工法改
プロセス検査で確認し、タイル、下地の合板双方にしっかりなじみ接着されていた。
しかし、やはり心配性なのでメーカー推奨の接着位置の隙間に加えて塗布する事に。
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⑪吸盤取っ手(サクションリフター)
大判タイルなので持ちやすいように用意したリフター。
吸盤内の空気を抜いて真空状態にし吸着させるのだが非常に扱いやすい。しかし、タイル裏に塗布する接着剤の量にシビアになってしまい平面の床で塗布後、接着剤に触れないようにリフターの装着が難しい。
壁面塗布に変更するか悩んだが急遽の切り替えリスクに不安を感じ従来通り手持ち案を採用。


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⑪積み上げ張り
下から順にタイルの貼り付けを行う積み上げ張り。
タイルとタイルの隙間にスペーサーを挟め積み上げるので連続で張り付け可能。
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⑫タイルスペーサー
今回の目地幅に合わせて3mmのスペーサー。
人を選ばず目地幅の均一化が図れるのでDIYにも。
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⑬ビニール養生
目地入れ前の準備、床面の汚れ防止にテープ付きシート養生。
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⑭目地入れ
壁面の伸縮や微振動に追従する弾性目地材を使用。
硬化後も適度なしなりがあるので目地トビ(剥がれ落ちる事)やひび割れしにくい。
ゴム鏝(こて)を使って擦り入れる。
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⑮拭き取り
タイル表面の余分な目地材の拭き取り。
スポンジに水を含めせ適度に絞って拭う。最初は水を多めで半凝固の材を水で柔らかく戻しながら。2回目以降は固く絞ってから。
タイル表面が湿っていると目立たないが乾いてくると白茶けた目地成分の残りが目立つ場合があるので仕上げ拭きは目地とは平行にならない対角線にスポンジを動かしながら行うと良いとされる。
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⑯コーキング処理
壁面端部に変性シリコンのコーキング処理を行う。
⑭で前述したが弾性目地材を使っているので動きに対して追従・吸収するがやっぱり目地材なので過度の期待は禁物だ。
それ以上の動きがあった場合に備えて柔軟性がある変性シリコンでひび割れや剥離防止を行いたい。
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これにて完成。

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