新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第222庭 2m壁

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「居は気を移す」という言葉がある。
住まいや環境によってその人の性質や思想も変わるという意味らしい。もちろん辞書からの言葉だ。我々の商いに当てはめれば「新しい環境に身を置き、より先進的な庭を発信」といった所であろうか。
今年の2月から当店リニューアルの為、解体工事が始まった。新しく建て直すと言えば良さげに聞こえるが、内情はどこにでもある程度にバタバタしている。仮設ハウスへの引っ越しから始まり、本業もリニューアルも同時進行で色々な予定が圧迫しているせいか酸素が薄く感じる。
しかし、忙しさにかまけて誤解があってはならないのが「新しくする意味」だ。
仮設ハウスに移りはや数ヶ月、リニューアル工事も後半戦に入り2回目の引っ越しも遠くない。新たな居はお客様や第三者の方にどう映るのだろうか。
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①工事前
今回の現場は当店、入り口わき。
リニューアルに向けて解体工事後、砕石下地の状態になっている。そこに2mブロック壁を組積し店舗の目隠しを兼ねたタイルや天然石の張り物の下地を設ける。

ブロック壁の最大高さは2.2m迄と建築基準法(第62条の8第1項1号)で定められている。構造や基礎の形状、鉄筋の一本までブロック技能士により施工を行う。
とは言え小さな庭屋のワンオペブロック、背伸びが過ぎない様にしたい。
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②砕石
ブロック壁の位置や高さを確認後、元々ある砕石下地を調整。
解体直後なので邪魔な建造物は無く、重機を使用し砕石敷き均し。
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③転圧
コンパクターで砕石の締固め。
転圧後、砕石の仕上がり高さは5~10mm程度下がる。砕石投入時にその分を見越して敷き均しを行っておくと二度手間が省ける。
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④鉄筋加工
ブロックサイズに合わせた鉄筋を加工し組み上げ。
鉄筋をモルタルやコンクリートに組み入れる事で飛躍的に強度が上がる事は多くの方が知っている。金属製の鉄筋は錆びて腐食してしまう事も。
そこで強い腐食効果のある亜鉛メッキ鉄筋を使用する。見た目の黒い鉄筋に対して亜鉛メッキの色味は銀。因みに塩害にも強いらしい。
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⑤差し筋
組み上げる鉄筋が位置ズレしない(動かない)様に等間隔で地中に差し筋。
コンクリートの打設圧は想像以上に高く、組み上げた鉄筋がズレる程。そこで差し筋をする事で位置ズレ防止を図っているのだが一つ大きな問題がある。
それは地中に突き刺した部分、擦れて亜鉛メッキが剥がれた箇所から腐食が進行し全体に錆が及ぶリスク。なので骨組みとしては非常に有効な差し筋だがコンクリート打設時に必ず撤去する必要がある。

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⑥鉄筋組み
加工した鉄筋をなまし線で結束。因みになまし線も亜鉛メッキ製。
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⑦ベースコンクリート
差し筋のお陰で鉄筋はズレる事なくコンクリートを打設。
しかし、ここで一手間。差し筋を抜く為に、コンクリートかぶり箇所の結束をほどく必要性がある。打設しズレる心配のない状態までいったら順々に結束をほどき、コンクリートを平滑に均し進める。
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⑧差し筋撤去
コンクリート硬化前に差し筋引き抜き。
ベースコンクリート打設後、腐食防止の為の差し筋を撤去。前工程で結束は解いているので後は引き上げるように順に抜く。結束解きに滞りがあるともちろん抜けないので注意。コンクリート表面上の穴の閉塞も同時に行いたい。
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⑨強さの違い
モルタルのCB(セメントブロック)とコンクリートの型枠ブロック。
赤矢印はよくある皆さんご存じのブロック、鉄筋とモルタルで組積する。青矢印は内部が大きくえぐれている形状の型枠ブロックで鉄筋はもちろんだがコンクリートを内部に打設する事で鉄筋コンクリート造と同等の強度が国土交通大臣に認められている。
そんな型枠ブロックで基礎を設ける。


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⑩型枠ブロック鉄筋
組積は通常のブロック同様にモルタルで行い鉄筋同士を結束。
打設コンクリートの流動圧やバイブレーターによる振動等が加わるのでなまし線でしっかり結束。
一定の高さを超えるブロック壁にはバットレス(控え壁)を設ける必要がある。
都合上、後付けになるが壁としっかり連結させるため鉄筋を張り出しておく(青矢印)。
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⑪コンクリート打設
ブロック内部にコンクリートを流しバイブレーター(振動機)で空隙閉塞。
振動を与えることで気泡を抜いてコンクリートを十分に充填させる事ができるが過度な振動は砂利(粗骨材)を底に沈ませてコンクリート上部がセメントペーストの多い状態、つまり配合がまばらになり強度のばらつきに繋がるので過振動に注意したい。
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⑫CB150
型枠ブロックでの基礎が完成し、いよいよCB(セメントブロック)でのブロック組積。
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⑬横鉄筋
横筋ブロックといわれる上部がえぐれた形状のブロックに横鉄筋を流す。横鉄筋は縦鉄筋に結束するのもよいが、型枠ブロックの時のような流動圧(コンクリート圧)の心配も無いのでモルタルで既定の位置に固定しても構わないとされている。
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⑭足場
段数を重ね、足場の設置。
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⑮壁頂かぎ掛け
ブロック壁頂には⑬でも登場した横筋ブロックを用い横鉄筋を挿入する事になっている。その際、縦鉄筋は横鉄筋に対して180°フックでかぎ掛けする事になっている。しかし、限られたスペースのブロック内部でのかぎ掛けが困難な場合も考慮してあり余長10d(鉄筋径の10倍)以上の場合、90°フックとしている(青矢印)。
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⑯バットレス(控え壁)
⑩で登場したバットレス用の鉄筋をブロック内部に定着させ組積。
これにて完成。

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