新潟の小さな庭屋が本気で目指す日本一の仕事!第225庭 ブロック壁がここまで変わる!天然石張りビフォーアフター

何故、こうも変わるのか。
秋の味覚がうれしい季節、今年は秋刀魚が豊漁らしく不漁続きだった近年と変わり大ぶりで安価となっているようだ。
子供時代はとにかく魚の小骨が苦手で大人は何故、秋刀魚をこうもありがたがるのかと不思議だったが数十年を経た今となっては秋の楽しみの一つ。来年はまた手の届かぬ庶民の魚となってしまうのか、せめて身近な内にもっと美味しくいただきたい。
今更ながら大衆魚のきれいな食べ方を勉強中。
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①前回からのつづき
前回行った型枠ブロックとコンクリートブロックによる下地ブロック積み。
基礎の砕石から始まり、骨組みとなる鉄筋組みや二度のコンクリート打ちを行いブロック積みに至った。
ブロックは合計で10段積みとなり高さがある。そうは見えないと言われそうだが国家検定の技能を有するブロック建築技能士の少し寂しいワンオペ施工。
前回⇒こちら
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②屈折検査
仕上げ張りの前に壁体の歪みを確認。
ブロック下地でジョイント部で折れ曲がりが生じるのは常だ。その為、タイル等の張り物では一般的には、まずモルタルで下地を均し平滑にする。凹凸や曲がりのある下地のまま張り付けを行うと仕上げに屈折や歪みの影響が出てしまうからだ。
↑上画像は理想と現実の中間、歪みは少なく2mm以内の凹凸でおさまっている。
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③研磨
わずかな凹凸なのでモルタル処理でなく機械での研磨処理を行う。
モルタル塗りの工程を省けるのでコストダウンはメリットだが、実は剥離のリスク回避が大きい。通常、下地はモルタル等のセメント系で行う。しかしセメントは1900年代から長く使われている万能建設資材だが接着力は世間に思われているほど強くない。もちろん、後発ながら接着力増強の商品はあるが重力への挑戦は継続中だ。
つまりはモルタル処理をスキップする為にブロックを平滑に組積し、多少の凹凸をグラインダーで研磨する事でセメント系下地に頼らない事前処理を行っている。
余談だが、よくあるブロックと仕上げ張りの工程を分業せず専任の従事者が一貫して行う事で、伝言リスクや責任転嫁が無くなり綿密な工事内容に繋がる一因になるやもしれない。ブロック積みができる石張り職人、もしくは石張りができるブロック職人。
まあ理想だが。
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④NorwayGreen(ノルウェーグリーン・MSC社)
サイズ違いの石材が梱包されている。
それぞれで色合いに起伏があるが仮に並べてみると自然な色調で天然石の良さが感じられる。
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⑤積み上げ張り
天然石材なので覚悟はしていたが、やはり厚みがあり重い。
重みで張り付け石材がダレ無い様に下から順に行う積み上げ張りを行う。
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⑥部分付け圧着工法
石材に塗布する接着材にはセメダイン社のタイルエースFを使用。
速硬タイプなので大型タイル張り等に重宝されるが高弾性接着剤でもあるので壁体の動きに追従しやすく、その後の接着力にも期待できる。
接着剤は雨水の停滞に考慮して縦長の部分付けを採用。
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⑦チョークライン
重たい張り石がダレ無い様に、下から順に積み上げ張りを行うが壁頂で寸法割りの良くない半端が入らないように注意したい。
人工物であるタイルなどは一つ一つの寸法に誤差は少なく事前に行うタイル割り(タイル貼り付け位置の計画やマーキング)でしっかり行う事が出来る。しかし、天然石材は誤差があって当たり前なのでズレを修正しつつ随時行う。
今回のマーキングで使用したのはチョークの粉末状を糸に絡ませ直線を描くチョークライン。水をかけると落ちるのが特徴だ。
昔は墨汁を使った墨壺が定番だったが墨が白シャツによく飛び散っていた。
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⑧壁頂
最高段に水糸をはり石の天端を揃える。
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⑨天端接着剤
ブロック壁への雨水浸透を考慮して天端は接着剤全面塗布。
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⑩天端石圧着
石の厚みにバラツキがあるので団子張り(接着剤を団子状に付け仕上がりを調整する工法)を行いたくなるが隙間などの空隙は雨水の停滞ホールになるので注意したい。
⑧で石の壁長ラインの調整を行っているので天端は多少の凹凸よりも十分な圧締、圧着で隙間なく張り付け。
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⑪完成
これにて完成。
硬化前の為、石と石の隙間に残る黄色の調整材は後日回収。
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