新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第216庭 ブロック組積

空調服をご存じだろうか。
ファン付き作業着と聞いた方が分かりやすいかもしれない。まだ暑い時期、熱中症対策に当方も試してみた。率直に言うと、どこに行っても何をしててもファンの音がやかましい。結果、音が気になり仕事に集中できず二日ほどで人に譲ってしまった。最近では夏場に現場でよく見かけるので、まるで仲間外れの年寄りになった気分だ。
そんな時代遅れのお爺職人に身体にかかる作業の負荷軽減、アシストスーツなる物はどうかと勧められている。子供の頃、アニメの影響で無線の通信機、今でいう携帯電話に憧れた。いつしか映画のような世界が現実に、などと思っているが今から100年前ラジオ放送が始まり大正デモクラシー真っ只中の大正14年から比べれば今がその世界なのかもしれない。

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①工事前
今回の現場は庭のリノベーション。
広い敷地に土盛りがされており住宅部付近には人工芝が敷いてある。
予定では画像手前(土部分)が車庫、人工芝付近がテラスになる計画。その間仕切りに今回の主題であるブロック組積を行う。
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②ブロック解体
初手は既存ブロックの斫り(はつり)。
一部を残し新設のブロックと繋げる予定。
ハンドブレーカー、通称ピックを使ってブロックの解体を進める。解体と言えばドッカンドッカンのイメージもあるが破砕を少なく行う形もある。
鉄筋の有る部分、無い部分を見極めピックを差し込み局部解体する事でブロックが粉々にならず原型を留めたまま縁切り。後始末が簡単に済ませられる。何より時間短縮となり騒音対策としても有効。
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③ハンドブレーカー
ブロックはもちろん廃棄するのだが砕かない様に壊し進める。
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④人工芝撤去
廃棄するのに中々嵩張る。
切断すると細かいクズが多くでるのでロールに。
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⑤鋤とり(すきとり)
重機を使用。
仕上がり高さに合わせて部材や下地の厚みを加味し鋤取り。掘削後テラス部分も同時進行で行う。
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⑥土砂搬出
敷地が広いのでトラック用の敷板を持ち込み、奥まで乗り入れて積み込み。
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⑦掘削、砕石
車庫とテラスの間仕切り部のブロック掘削を行い砕石投入。仕上がり高さに張った水糸を基準として各工程を仕上げていく。
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⑧全体
撤去や搬出作業、土工が一段落し、ここから本格的に造り工程となる。
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⑨鉄筋
砕石転圧後、鉄筋加工。
この鉄筋、見た目が普通の鉄筋と比べて白っぽい、実は溶融亜鉛メッキでコーティングされている。コンクリートの経年劣化による中性化、それに伴う鉄筋の腐食が問題視されているが表面コーティングによって高い防食効果がある。
海外の大型建造物での使用実績は多く、特に塩害が顕著な沿岸部の構造体で高い実績を残している。我が国の公共工事を中心とした防錆鉄筋の構造物でも普及が広がっているらしい。

小難しい話になったが、つまり時間が経ったコンクリートは内部の鉄筋が腐食しやすい状態になるので亜鉛メッキの被膜で守られた鉄筋を使用し、通常より高耐久の鉄筋コンクリート造としている。
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⑩ベースコンクリート打設
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⑪ブロック組積
ブロック積みに関しては建築基準法内で定められた規定があるが具体的に一定の技能を要する国家資格としてブロック建築技能士がある。そこで定められた中には高さや規模によって数値が変化するものがあり、覚えの悪い当方の様な者には迷惑な決め事があった。
例えば地震がある毎にクローズアップされる控え壁(バットレス)は高さ1.2mまで不必要とされている。しかし、基礎の形状も細かく定められており逆T型、もしくはL型だった場合は1.6mまで可能である。厳密には土質も考慮される。
今回は2段積、0.4m。
控え壁はブロック転倒に対し有効な構造体だが一定の規定があるので注意したい。
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⑫横筋ブロック
建築基準法第62条(4、8)で壁頂には径9mm以上の鉄筋を配置する事、「継手の重ね長さは径の25倍」と定められている。
つまりブロック壁の上部には必ず横筋(横鉄筋)が必要であり横筋をモルタルで覆う為の空洞部(えぐれ)が備わっているブロック(横筋ブロック)が必要となる。
因みにブロック検定での「継手の重ね長さは鉄筋径の40倍」以上が必要となる。

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⑭頭頂部、横筋
鉄筋を中心部に配置しモルタルでのかぶり厚さを確保。
かぶり厚さとは鉄筋を覆うコンクリートやモルタルの厚み。構造体によって数値は異なるが一般的なブロック壁の場合は20mm以上と定められている。検定の実技では横筋の位置固定は縦筋に結束、もしくはモルタル固定が許可されている。
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⑮モルタル
モルタルを充填し水引を待って金鏝(かなごて)で仕上げ。
保水が多い状態で仕上げると、その後、水が蒸発し体積が減る事により、それぞれの粒子の密度が減ってしまい凝結が弱まってしまう。見た目はもちろん強度にも影響するのでタイミングを見計らって行いたい。
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⑯ブロック組積、これにて完成
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予告1 その後
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予告2
次回、その後に仕上げたテラス。

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