新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第141庭 テラス植栽

「餅は餅屋」と言うとその道の事は専門家が一番という有名な例えだ。最近はいなり寿司の専門店があるらしい。前回、「頂いたいなり寿司専門店の味が忘れられずもう一度味わいたいのだが、どこの店か分からず探したい」と意気込んだ迄を記載した。
今回、家内を誘ってみると「当てが無さすぎる」といともたやすく一蹴されてしまった。タブレットで検索するとネット上では新潟のいなり寿司専門店は見当たらないらしい。いなり寿司は無いけど、つけ蕎麦専門店が見つかったからそこに行こうと逆に返される。「いや、単に休日のランチでは無く、ちょっとした男のロマン・・・」と渋っていると蕎麦だけじゃなくてサイドメニューにいなり寿司もあるからと、いつのまにかサイトチェックを終えた娘に加勢された。2対1という不利なパワーバランスだが部活で不在の息子だけが原因と最近では思えなくなりつつある。
6e47251d83d0dc261063d4cc631801fe1
前回、タイルテラスを仕上げたがまだ植物にとって気温の高い状態だった為、植栽を持ち越しにした状態にしていた。今回は前回の続編で植栽スペースを仕上げ庭を完成させていく。
テラス前のメイン植栽に用意したのはカツラの木。ハート型の葉が人気の落葉樹。
まずは根の大きさより一回り大きく掘削。これから元気に成長する為に根の育成が必須になるので伸ばしやすい様に土をほぐす意味で大き目の掘削を推奨。
1d0abe24fee38b26daaa9157c1f2955c
掘削後、元肥となる固形肥料を投入。
年に数回、肥料のタイミングを聞かれる事がある。一般的な事を言えば植え混み時の基肥、花の終わりの礼肥、シーズンオフ冬の寒肥と3回に分けて与えるとなるが決してそれら以外は良くないという事ではないので誤解のない様に。あげ過ぎでなければ時期は問題とならない。例えば今年の様に猛暑で元気が無い場合などは積極的に追肥の検討を。
06021dc67fed1c11bd880f47c0bf26ee3
女性はカメラ写りを意識して自身の顔の一番良い角度を把握してると聞いた事がある。植木も同じで見た目の良い角度を正面や入り口方向に向け植えると良い。
バーク堆肥を土に混ぜて掘削した穴の根の周りに入れる。
保水と同時に無駄な水分の排水も行い、肥料を留め易くし、植木に必要な環境を整える為に行うので重要な工程としてしっかり行いたい。
参考までにバーク堆肥と土の比率は一般的に1:3。
66be23dc71ce94822b5321fdd16311f0
バーク堆肥ブレンドの土を投入後、足で根回りを踏み固め土決めを行う。
根から延びる細根が水を吸い上げる役割を担っているが非常にか細く切れやすい為、強風などの影響で根が動かない様に固定する。
一般的に根回りの固定は水決めと相場は決まっているが扱う土を見てから水決め、土決めを選びたい。
新潟は元々砂質土で砂けが多い土地柄なので水気めが主流、当店も水決めを多く行ってきたが新しく造成された所は粘着度の多い場合が多く水で飽和状態にまでする水決めだと水の抜けた後ガチガチに硬化してしまい水分の吸収、根の育成に悪影響が懸念される。もちろん海岸沿いなどの砂質土の土地もあり、そういった場所では水決めで良いと思われるが土の要素が高い場所では土決めを行う。
d7f0e6b206eef95b638bd755114bac0f
メインのカツラが水戸のご老公なら添える2本は左の助さんシバープリペット右は角さんマホニアコンフーサ。

66974e285957243e02aeacf3cb177234
小さい植栽の土決めは根の大きさに合わせて棒状の物等を使用して突き決める。
65d11a2284a750008c31f9d725d677bb1-e1538207188127
杉テープで枝をくるみ打った杭にシュロ縄で縛って養生を行う。
f1ef2d77746f3e81c2727aef5ab11dcd
その他の植栽。
これにて完成。
cfacd6a677bc097e00fa60d5c0b2f12f
秋の空の早めの翳り、茜色からゆっくり灯がともる。
探していたいなり寿司の店だが頂いた方からお店の住所をありがたくも教えてもらえた。喜び勇んで仕事帰りに寄ってみたのだが19時迄の営業だったらしく不発になってしまった。休日の明るい時間に出直す事にした。
c53edc6c26dc144c6ef1fafecf737813
これにてテラス前の植栽スペース完成。
思い起こせばタルテラスを手掛けている頃は蚊取り線香を持参していたのでまだ日も長く汗が滴る頃だった。
手元(補助)として一緒に作業しているのは、まだ20代半ばの若者だが10月の今でも半そでで汗を滲ませている。
彼の抱く夢は一国一城の主、独立。
当店では一定期間の下積みを終え技術を習得したのち独立を選択することができ、そうした場合の支援も行っている。
もちろん独立にはリスクがある、現実と言う名の大海原は荒波が多く打ち寄せるやもしれないと老婆心をおこす事もあるが聞くと彼なりの想いがあるらしい。同門内で評価するのは眉唾と思われるやもしれないが、彼はいつも素直で一生懸命だ。良い意味で前のめりな気持ちも窺える。
頑張っている者を応援したくなるのは誰しもが抱く共通の気持ちだ。何が出来るだろう。
独立せずとも中年とて日々勉強、そして向上に変わりはない。彼が独立を果たし袂を分かつ事があった後「分からない事があって相談したい」と頼られ役を努めれるよう励みたい。そしていつか「まだ、若い者には負けん」とお決まりのセリフを言いながら技を競いたい。
越後職人が手がけた

これまでの仕事が掲載、履歴一覧はこちら

 

越後職人宅の庭づくりをスライドショーで紹介