新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第140庭 タイルテラス

幼少期、甘いものが苦手だった。甘い物と言っても今風に言えばスイーツ等の事でなく食事限定。甘く煮た煮豆やカボチャ、
かんぴょう巻き等も苦手だった。しかし年齢と共に好みも変わるもので甘味と塩味のいわゆるあまじょっぱい料理は好物にまでなった。
先日、いなり寿司専門店のいなり寿司を頂いた。普段はスーパーのいなり寿司の味に慣れているのであまりの違いに驚く。お揚げ、酢飯、ゴマと順番に心地よい味が口にひろがる。数日経っても余韻が舌に残っている、どこのお店だったんだろうと気になる。しかし、ちょっとした不手際で包みを処分してしまいどこのお店か分からなくなってしまった。今更だが、そもそも新潟のお店だったのだろうか。
連休ともなれば遠出を計画しがちな所があるが近場でぶらぶら探してみようと思いついた。嫌がる家内を誘う。さほど期待はしていないつもりだが、見つけた時の喜びを想像するだけで自転車の空気入れも楽しいはずだ。
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今回の現場はタイルテラス。
主にリビングから続く掃き出しの窓の前につくる事が多いテラス。最近はウッドデッキテラスよりタイルテラスを選ぶ方が増えているらしい。事実タイルテラスを当ブログで紹介する頻度も高い。そこで普段とは少し角度を変えてタイル貼りでは無くタイルを貼るまでの工程を多めに紹介したい。仕上がりではなく基礎部分がメインになるので地味になるのは間違いない。
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まずは杭打ちを行い丁張を建てる。 丁張とは着手前に、 躯体の正確な位置を出すもので最終的に糸を張って空中に躯体の形を具現化するためのもの。
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オートレベルで各杭に基礎の高さをうつす。今回のテラスは階段もつくる予定になっているので階段の高さもそれぞれ高さを計算してだしていく。
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計算した高さに抜き板を打ち付け更に基礎の位置に釘をうって糸をひっかけられるようにする。ピンと 張った糸に合わせて基礎をつくっていく算段となる。
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丁張設置。水平からとったのであろうか、工事で使う糸は水糸と呼ばれる。目立ちやすい蛍光色の水糸が多い。
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糸に合わせて基礎ブロックを立ち上げる。ブロック内部に巡らした立ち上げ鉄筋は後々折り曲げ結束していく。
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テラスが住宅基礎と縁切れしない様にアンカーを打ち込む。元々が別物なので離れない様に必要な処置となる。アンカー無しは最初こそ何ともないが時間経過と共に小さなゴミが入れられてしまうような隙間が生じる。そんな便利な隙間だが見栄えは決して良くないのでアンカー工事はしっかり行いたい。
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ハッカーを使って結束線で結束。
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アンカーそしてブロック内部に入れた立ち上げ鉄筋、基礎平面に敷き込んだワイヤーメッシュをすべて結束し繋がりを持たせて準備完了。
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コンクリートの打設。飛び跳ねで汚さない様にビニールシートで建物部を養生。
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コンクリート打設後、タイル下地のモルタル打設。コンクリートとモルタルは砂利が入っているかの違いだけだが砂利を混ぜてあるコンクリートは飛躍的に強度が上がるが石の粒があるのでどうしても精度の高い平滑面にすることができない。そこでコンクリートの上に均しやすいモルタルを使って平滑にしタイル下地としている。
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雨水枡の点検口に合わせてタイルの加工。
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グラインダーを使って曲線加工を行うのだがこの機械、基本直線カット専用となっている。
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大まかに切り抜きその後、アナログ戦術で細かく切り込みを入れ曲線加工を行う。 こういった細かい作業は好き嫌いで言えば大好き以外にない。理由は至ってシンプル。
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達成感でまた仕事ができる。 モノづくりは分かり易く形になっていく面白みがある。工程が進むたびに形が浮かび上がり、昇りつく先が険しい程比例する喜びがある。これが若かりし頃、年配の職人たちが語っていた「つらさの中にも喜びがある」というものであろうか。
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いよいよタイル貼り。圧着セメントを均一量に撫でつけれる櫛ごてを使う。
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バイブレーターを使ってタイルを圧着貼り。微振動で液状化させ細かな隙間を無くし、しっかり貼り付けを行う。
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目地材をゴム鏝でしごき擦る様に撫でつけ入れていく。擦る事で目地奥まで入れる事と材料を残さない事で拭き取り工程が僅かばかり楽に済む。
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スポンジを使って拭き取り。
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タイル仕上がり。
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テラス脇に擬木模様のコンクリート支柱を建て込み根元をやはりコンクリートで固定する。柱の根元、コンクリートと土の境界を見ると出たり引っ込んだりがある。真四角に掘削(穴を掘る)するよりもいびつだが凸凹に掘削してコンクリートを流し込み、支柱を固定した方が設置面積が増え支持力が飛躍的に向上する。
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周りを整地してこれにてタイルテラス、仮に完成。
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植栽に合わせる黒乱石。
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タイルテラス前に植栽スペースを設けて本来の完成予定だったのだが気温の高い状態での植栽は植木を弱らせることになるので見送る事にした。植木不在のライトアップは空を照らす事になるので点灯確認後、消灯。
植栽を行ってライトアップされる模様といなり寿司探訪でつらさの中に喜びは見つけられるかは次の庭で。
越後職人が手がけた

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