新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第99庭 サンゴ石のアプローチ

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歳を重ねるごとに暖かい季節が待ち遠しい。春先と言ってもまだ朝晩は寒く、貼るカイロは出勤前の準備に欠かせない。
子供時代は雪のまう中、常時半ズボンで登校し近所の人に元気いいねと言われるたびに嬉しさ半分恥ずかしさ半分で小さく頷いてた事が懐かしい。
今日の工事は庭内のアプローチ造り。
画像は事前に準備してある曲線の下地コンクリート。その上に石材を貼りつけ園路をつくっていく。
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用意した石材は海底から切り出したサンゴ石の敷材。貝の化石が見てとれ、稀にみる商材に仕上がりの期待感が高まる。
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四角形のスペースに敷石を貼り込む事はよくある。しかし今回つくるのは園路自体は曲線を描くが敷石は曲線上に貼り込まず石の横目地は真っ直ぐ一直線。カーブする下地コンクリートに300真四角の石材を貼るので、感覚だけで貼り続けられない。寸法取りは念入りに行う。
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石の寸法に合わせて目立つ赤線をコンクリートに一つ一つつけていく。
難易度の高い貼り込みだからこそ、ここは職人の腕の見せ所と意気込みたいが今回の工事に、職人の感覚はあまり必要としない。重要になってくるのは徹底した下準備。
下準備は手間がかかるので躊躇しやすい。職人の誰しもが簡単に事を成し遂げたいと思うがミスはしたくない。そこで浮上する下準備という選択枝。この選択によって仕上がりに大きな差が生まれる事は多い。
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付けた線に合わせて敷き石を配置しズレがないか確認。ここで切断が必要な部分は石材用カッターを使いここでカットしておく。
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天然石といっても多種あるが多少歪みのある天然石は少なくない。しかし今回使うサンゴ石は恐らく機械を使って正確に切り出されているので歪みは無く、工事の際に生じやすい石と石との仕上がり高さのズレによる凹凸は目立つ。
平らな仕上がりになる様、園路の両脇に鉄筋を刺しその一本一本に仕上がり高さを付けた。これで貼りこみ前の準備が整った。
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いよいよ貼りこみ開始。コンクリートの上に接着用のモルタルをつけ石を圧着していく。
実は下準備で石の配置確認をする時、手に取って気付いたがこの石はかなり吸水が激しい。試しに水を貼った大きいバケツに石を入れてみたがブクブクと5分経過しても気泡が立っている。恐らくサンゴ石の内部は細かく小さな部屋が無数にあり空気を多く含んでいる。その部屋が触れた水分を吸い上げる仕組みになっていると感じた。セメント・砂・水を練り上げた物がモルタルになるが水分が多いモルタルは強度が低くなるが逆に少ないと接着力が低いモルタルになる。適度な水分含有量が肝になるのだが今回は吸水するとわかっているので画像からも見てとれるが水を多めに入れ柔らかいモルタルを使う。
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下準備が滞りなくできているので貼り込み作業はサクサク進む。
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繰り返しになるが水分量の少ないモルタルは接着力が低く剥離しやすい。目地モルタルもやはり水多めで柔らかく練ってから入れ込み仕上げる。
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これにて完成。目地のラインも斜めになったりする事無く思い通りの仕上がりになった。
途中熱くなってきたので上着を一枚脱いではもう一枚と脱ぎ続け、寒さ対策に準備したカイロも剥ぎ取り最後はシャツ一枚で仕上げ作業をしていた。帰るトラックの中でもはぎ取ったカイロは僅かに暖かかった。
もったいない。
前準備は重要だが意味を成さなかった準備は栓のない事とわかってはいるが歯がゆさが残る。母親に子供の頃「いつまでもクヨクヨしないの」とよく言われていたが未だにちょっとした事を引きずる事がある。
頭には白いモノが目立つようになっったが心はまだ半ズボンを脱げていないという事だろうか。
越後職人宅の庭をスライドショーで紹介