新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第218庭 玄関前タイルポーチ 壱

古代中国のとある王のふるまいが「酒池肉林」の語を生んだ。
酒で満たした池や木々に肉を吊るした贅沢は悪徳の典型とされる。やがて反乱が起き、王は滅ぼされた。しかし、この宴が本当にあったかは疑問だという。
後世に伝わる文献は勝者によって記される。この四文字は肩書きのある座からいったん降りれば悪く扱われる世のさがを伝えているとも言われている。
新年度を迎える季節。
上司持つ人、部下持つ人、それぞれの苦労があるだろう。一生懸命がいつのまにかに注意したい。
相も変わらずワンオペ平社員の当方だが。
f494b3ad70b2b494f1971e2ff71e10448
①工事前
今回の現場は玄関前。
扉前に目隠しを設け、コンクリートポーチからタイルポーチへのリノベーション工事となる。もちろんコンクリートポーチは新設タイルの下地として最大限活かす予定だ。
ポイントはお客様の通路。勝手口がないので朝夕の出入りとして玄関の利用が必須となっている、通路確保しつつ工事を進めていく計画となる。
fa34ab1da99d35fa67ffb567e1a6e836
②3D図
完成予定図になる。
赤と青の矢印が出入りの動線だ。玄関に対して左右に分け、一方で工事を進め一方を通路として出入りしてもらう算段。まずはセオリー通り奥から手掛け始まるので青矢印を中心に工事を進め、しばらくは赤矢印側から出入りをしていただく。
2e18d4c170620b2a8e64cffd554623cc
③ブロック組積
目隠しフェンスの土台兼タイルポーチの外枠となる化粧ブロックの組積。
赤矢印の先にあるのは差し込みホールアンカーと言い、穴の内部で広がる鉄筋でコンクリートの打ち増し時等に縁切れやひび割れ防止に用いる。
コンクリートの接着力は世間一般の認識よりはるかに低く、適切な鉄筋による補強等が必須になる。鉄筋補強等、しっかりやっていると大々的にPRしたい所だが下地という性質上、残念ながら内部に隠れてしまい見えなくなってしまう。

6ef5f4420167462205a32cf6626dddbd
④L型鉄筋
錆や腐食を防ぐ溶融亜鉛メッキ加工の鉄筋をL型に折り曲げ加工
bb94579de9e274b458ce99d5afe05dee
⑤下地ブロック
タイルポーチの外枠部分に下地ブロック積み。
ブロックのジョイント部にモルタルを充填させ④で事前に折り曲げた鉄筋や縦筋(差し込みアンカー)を配置。
ebbd001e7d0013c9d842e49087551bcd1
⑥コンクリート打設
ワイヤーメッシュを準備し⑤でブロックに差し込んだ鉄筋等と結束。繰り返しになるがコンクリートを含めたセメント系の接着力に多くは期待できないが硬化能力は高い。異形鉄筋(凹凸のある鉄筋)をモルタルやコンクリートに埋め込む事で互いに存在応力を伝える構造体とし縁切れ防止につながる。
また、建築基準法やブロック技能士の教本には鉄筋径に応じた定着長さ(埋め込み長さ)が記載されているが、それぞれ違う数値となっているので選択はお任せする。
3f6b115eaf2d4b95e9dc1609893ec8dd1
⑦モルタル
コンクリートは砂・セメント・砂利・水の混合物だが石である砂利は形が変形する事が無いが、それ以外は硬化し水が気化する過程で収縮し体積が減る。即ち不変の砂利の部分と目減りするセメントや砂の部分とで変化があり凹凸が生じる。したがってコンクリートにタイル張りに必要な平滑な下地は求められないので、モルタルをかけるのが一般的だ。
ここで苦労するのはコンクリートとモルタルの剥離だ。繰り返しになるがセメント系の接着力は期待に及ばない、そこで打ち水やシーラー処理、ノロセメント、サンドセメント等を施す事になる。
しかし更に上位の完全接着がある。一体化である。
国土交通省が発表している公共建築工事標準仕様書、左官工事モルタル塗りの項にコンクリート床面は打ち込み後、可能な限り早い時期に塗り付けを行うとなっている。
コンクリートの硬化前にモルタルを被せ同一硬化させる事で一体化、剥離リスクのない
タイル下地を設ける。
d2435692a5021b42b56e9120e84a09dc
⑧モルタル平滑
打設直後のコンクリートは保水状態の為、軟らかい。水が多ければコテ波や不陸が生じやすいのでタイル下地は少なめの水で練り上げたモルタルを用いる。現場ではバサモルタルなどと言われている。水が少ない分、モルタル内に空隙が生じやすいのでコテでモルタルを叩き、圧を加え閉塞させながら均し進める。
職人の腕で平滑にしていく、といきたい所だが手に持っているのは軽量のアルミ定規、道具多めで平らにしていく。

76f494fd0371b3db8d6b8f4d9261daf5
⑨通路
⑧で下地が出来た。ブロックを並べ仮設階段とし今までと反対の青矢印の動線で玄関まで出入りしていただく。
5a75c0dfa30502c44e5cec7a56af0c71
⑩下地ブロック
通路の入れ替えを行ったので赤矢印側の工事に移行。今までの工程をなぞる様に下地ブロック積み。もちろん⑤の工程同様、L型や縦鉄筋等を配置。
da144f492f698de52c69282e5324494f
⑪モルタル
下地コンクリート打設後モルタルを被せ一体化。階段部分の木枠は仕上がり高さに合わせたモルタル枠。この枠に合わせて平滑に均せば済む様にしているのだが、この工程はコンクリート打設後、時間を空けずモルタル滑走を行う。実際の現場ではバタバタが続くので準備が要となる。事前に一連の流れの確認をお奨めしたい。
53015703be3b61d06d87cac13836576b
⑫タイル下地硬化
これにて下地完了。次回続いて仕上げを行う。

越後職人が手がけた これまでのつぶやき、履歴一覧⇛こちら

五十路の手習いInstagram⇛こちら

【越後職人宅の庭づくりをスライドショーで紹介】