新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第213庭 駐車場、石張り リフォーム②

新潟県上越市中部にある春日山をご存じだろうか。
戦国時代の名将、上杉謙信公の居城があった場所だ。先日、初めて山に登ってみた。
知り合いからは何もなくつまらない、良くも悪くも新潟っぽいのかもしれない等と聞いたことがあった。なかなか手厳しい。
標高は180m程で駐車場のある登り口には大きな案内板。春日山城は全国屈指の山城として伝わり、今も土塁や曲輪の形状が残っていたが直江、柿崎などの名前が記載された武将屋敷跡に心が躍る。時代は違えど同じ景色を見ている、天守跡から見える直江津の港、戦の前に籠られたという毘沙門堂。
一人だったので時間を気にしなすぎて少し寂しくなった。駐車場に戻ると、ご高齢のご夫婦とお孫さんが案内板を熱心に見上げていた。決して近いと言えない他県ナンバーの車もちらほら。
戦上手な名将は今も名を残しているが、裏切りが常の戦国で義を掲げた郷土の英雄が一段と誇らしく感じた。
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①前回の解体
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②前回の枕木リノベーション
①②前回、以前行った庭のリフォーム1として旧石張り・一部枕木の撤去後、花壇の復旧を行った。
今回は撤去した床スペースに石張りを行う。

石張りと言うと旧いヨーロッパの街並みにある石畳をイメージする方もいられるかもしれない。石の中でも敷石と石張りの違いをご存じだろうか、実は形が違う。敷石は昔からあるやり方で文字通り石を敷いているので厚みのあるサイコロ型の石を用いる。石張りは張り石なので厚みの無い平板型を用いている。
もちろんサイコロ型の方が丈夫なのだが重量物なので、施工や輸送面でのコストがかかってしまう一面がある。何よりその当時は加工技術が今と異なるので、そのままの石を使うのが一般的だった。
しかし、効率化重視の現代はと言うと進化した加工技術による石のスリム化、接着力と強度を兼ね備えたセメントによる張り工法を用いた石張りが一般的となった。
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③ワイヤーメッシュ
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④結束
張る躯体は現代建設の優等生、コンクリート。路盤は砕石を敷き転圧で敷き固めてある。

③ワイヤーメッシュ(溶接金網)の敷き込み。
鉄筋を縦横に組んで溶接した金網で土間コンクリート内に入れる事で飛躍的に強度が増し、補強、ひび割れ防止として用いられる。国家資格検定では色々取り決めがある中で、金網同士の重ね長さはポイントの一つとなる。重ねを短くすればコストを抑えられるが有効な補強とならない。
因みに当店では金網の継手長さは15mm以上推奨。
④結束
コンクリートを打ち込む際の流動圧で金網が移動(継手長さが変化)しない様になまし線で結束。補強の為に結束線を2本合わせて使用する事もあるが、必要以上の使用はコンクリートの充填を妨げる事になる。金網や鉄筋は水に触れておこる錆膨張のリスクがあるので支持する部材の中でしっかり定着させる必要がある。検定の教科書等がこぞって言う所謂、かぶり厚さだ。
具体的には次のスペーサー工程で⇓。
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⑤スペーサー


かぶり厚さはワイヤーメッシュや鉄筋等の耐久性を確保するため、コンクリートやモルタルで覆う最短距離。
⑤ここではワイヤーメッシュをコンクリートで覆う・包むでかぶり厚さの確保となる。スペーサーの上にワイヤーメッシュに乗せる事で床面から浮かせている。
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⑥コンクリートミキサー車
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⑦コンクリート打設
⑥⑦いよいよ打設。
コンクリートを運ぶミキサー車だが正式にはトラックアジテータと言う。工場生産のJISを通したコンクリートは種類、品質、基準、指定方法、検査等が規定されている。
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⑧張り石
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⑨ねじれ
⑧張りつけ石、天然石特有の紋様が特徴的。

⑨青矢印に比べ赤矢印に隙間。
採掘後、石の層で割り加工を行っている為、特有のねじれ・反り返りがある。ブロックやタイル等と違い自然の物なので厚みもバラバラ。
実用性を踏まえれば床面の仕上げに凹凸は歓迎されない。反り返った石をフラットに寄せて仕上げるには、石のねじれをどのように緩和するか。
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⑩加工
⑩石を切断し、ねじれを緩和。
端部に必ず切断した石が必要になる。そこで石をすべて開封しねじれが強い石を選別、加工。張りつけ時、石と石との目地(継ぎ目)でねじれを吸収する。



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⑪仮置き
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⑫張り付けノロ
⑪前述した通り、石の厚みや反り返りが一定ではないので一枚一枚調整しながらフラットな仕上がりになるよう調整する必要がある。
硬め(水少なめ)に混錬したモルタル、通称バサモルをコンクリートに均し、仮に張り付け。
⑫バサモルの接着力は決して高くないので仮置きした石をここで一回剥がす。
ここで重要なのは石の形にフィットしたバサモル。そこにセメントを水で溶いたセメントペースト、通称ノロをバサモルに満遍なくかける。
ノロに砂を混ぜたのもがモルタルになるわけだがノロには強度はそれほど無い。しかし接着力が高いのが特徴の一つだ。
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⑬圧着張り
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⑭水糸
⑬セメントペースト・ノロをバサモルにかけた後、石をあてがいハンマーで叩きながら圧着しながら張り付けを行う。
⑭一団づつ石寸法と仕上げ高さに合わせた水糸を張り、それを目安に張り付けを行う。水糸の水は水面の高さが一定になる事を利用して水平を合わせていた昔の「水盛り」から由来するもので、測量機を使う現代でもその名残で水糸と言う名称が残っている。
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⑮目地入れ
⑮石張り後、目地入れ。
目地幅は1cm、季節も手伝って硬化・乾燥は早い。目地の後始末として掃除を次の工程で行うが余分を最小にする為、ゴム製のコテで目地材を擦るように入れている。
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⑯拭き取り
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⑰拭き取り
⑯⑰スポンジ拭き取り。
拭き取りのポイントは固まる前に迅速に行う事になる。一定以上、硬化が進むと手間が倍増する、つまり拭き取りの回数も比例するように増えるので大面積の場合は段階を分けて行ないたい。
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これにて完成。
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