新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第199庭 金ゴテ土間コンクリート タイル/コンクリート/人工芝②

一年に一度の憂鬱だ。
寝起きに採取はするが朝食を摂ってはいけない、すきっ腹で出陣。検査が終わるまでは水も控えるのが望ましいとある。若い時は何とも思わなかったものだが、この年代になると生活習慣の四文字が重くのしかかる。健康診断だ。

その場で数値が出る視力検査や身体測定等は去年と比べ変化していると年甲斐も無く一喜一憂してしまう。
特に山場は血圧測定で無精な食生活が露見する気持ちで毎回どきどきしてしまう。むしろ緊張しすぎで数値が上がっているのではないか。隣の方は平常値だったらしく一回で済ませているが高かったこちらはもう一度。係の方に手間をかけて申し訳ない気持ちになるが空腹を耐え忍んだ検査後の食事が心の支えだ。

県内では早くも稲刈りが始める地域もあるらしい。今年は気温が高かった影響で果物等も例年より早く出回っている、店頭では瑞々しそうな梨も見かけられた。来年は健康な状態で秋の味覚を堪能したいものである。

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前回、玄関前の掘削から始まり下地を準備しタイルアプローチを仕上げた。

前回を見ていない方⇒こちら

今回はその続き。
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事前に行った下地の砕石路盤に木枠を組んでいる。
現場は駐車場が隣接されている。普段は一輪車での打設が多いが、今回は延長用のシューターを準備。
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⇑矢印=ワイヤーメッシュ重ね(ラップ)
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⇑矢印=スペーサー
シューターで運ばれた生コンを各所に配りながら打設。

コンクリートの骨組みとなるワイヤーメッシュは事前に準備。
国交省が取り扱う大規模公共工事等ではワイヤーメッシュ同士の重ね幅(ラップ長)は網目の一目半かつ15cm以上となっている。当店では明確に数値化されている15cmを基準に一目15cmのワイヤーメッシュを使用し一目以上を重ね、結束している。

土間コンクリート造において重ね幅とツートップを組む重要なポジションがかぶり厚さ。
つまりワイヤーメッシュからコンクリ表面までの距離なのだが、コンクリの中心部に骨組みがある事で強度が保たれる。
かぶり厚さ保持の為、ワイヤーメッシュを人力で引っ張りながら打設する形もあるが、その他にスペーサーブロック、通称スペーサーを使う方法がある。スペーサーを駒代わりにワイヤーメッシュの下に置き既定の位置を保持させるやり方だ。
いずれも事前の準備となるので段取り好きな職人に好まれる。コンクリート打設は硬化し続けるセメント化合物をt(トン)単位で流し込む重作業だ。硬化までの限られた時間内に必要工程をこなしていくのは慣れてはいても、どこか力が入ってしまう。
しっかり準備を調えたと気持ちを落ち着かせる意味でも先んじてスペーサー設置を行い血圧の変動を抑えたい。
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タッピング
打設後、タッピングを行い均し前の準備を行う。
昨今では色々なやり方があり機械で均す仕上げもあるが、その場合はタッピングを行わない場合も少なくないらしい。
タッピングとは網目状の金網器具、通称バタバタを使ってコンクリートの表面を叩く工法。
叩く(タップ)事により気泡を抜き締め固める事で密度・強度の高いコンクリートとなる。
その他にタッピングする事でコンクリート内の砂利や石が沈むのでコテで仕上げる工程が容易になる側面がある。

昭和世代の職人は例え大面積でもタッピングを念入りに行い右手一本、金ゴテで仕上げるのがパターンだったのでタッピング上手も多かった。
タッピング巧者と組めば楽に良く仕上がるので職人間で噂は早く広がる。早く認められたいと以前は皆が力を入れた工程。
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道路面引鏝
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一回目均し
タッピング後コンクリート表面に水がテカテカ浮いている、まだ軟らかい段階で一回目均し。
端部は道路面引鏝、通称面ゴテで斜角に面引きを行う。特にタッピングで対応しづらい端部の砂利をこのタイミングで下げる意識が重要となる。
場所や状況により変化するが一般的に屋外の土間コンクリートは2%程度、つまり1mに付き約2cmの水勾配が設けられている。均すポイントは盛られている箇所は削る様に、削れている箇所には盛る様に凹凸を平滑にコテを使って右へ左へ。
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二回目の仕上げ均し。
コンクリート表面の水も揮発し、適度に締まっている状態。一回目の均しに比べ、水面張力が弱まっているのでコテ波の痕が少なく平滑に仕上げやすくなっている。逆に硬化が進みすぎると固い表面を平滑に仕上げづらくなるのでタイミングを重要視したい。もちろんその日の気温や日差しもポイントになる。
昨今の仕上げコテの主流はステンレス製。薄く柔らかい材質で多少の凹凸もしなやかに吸収しつつ撫でてくれるので楽に仕上げられるのだ特徴だ。逆に柔らかすぎて平滑になっていなくとも撫できってしまう程だ。その為、持ち手を選ぶ側面があり半人前の若い頃は使用を禁じられていた。

ではステンレス製以前の昔のコテ仕上げは何が使われていたと言うと鋼製の角ゴテだ。もちろん他のコテを使ってられる方もいると思うが焼きの入った鋼製の角ゴテは固く、硬化が進み浮き上がったコンクリ表面の粒砂利を物ともせずに撫で下げる。その粒とコテが当たる度にカリカリと音をたてる。

一昔前の話だが角ゴテで仕上げ押さえをしていると白髪の年配の方に良い音だと声を掛けられた。
コンクリートは硬化が進むほど締まって均しづらくなると前述したが、そこに強く圧をかけて均した仕上げは実は密になりグンと良くなる。つまり音が響く程、締まった表面を撫でているのだ。そんな事を知っているのは経験者なのではと思い、聞くと元左官職人の大先輩で一通りの武勇伝と「良い音だ」と繰り返し言っていた事を覚えている。
そんな経験から、あたかも自身が褒められた様に勘違いし今でも仕上げ押さえに角ゴテを使っている。
もちろん当方に元が付くようになった暁には勤しむ職人さんに「良い音だ」と言いに行きたい。血圧の話もするやもしれない。

これにて完成。

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