新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事!第192庭 石割り Reno1

子供時代、パン屋で買ってもらえる甘いコーヒー牛乳が楽しみだった。昭和のコーヒーといえば大人も砂糖やミルクを入れていた印象がある。数十年も前の話なので定かでないのだが。
たまに立ち寄るコンビニでコーヒーマシンを利用している方をよく見かける。最近は老若男女、ブラックコーヒーを好む方が多い。強い苦味があるのだがコクと言えば良いのだろうか慣れてくると奥深い風味が良いらしい。当方は、まだ慣らし運転中だ。
そんなコーヒーだが自宅ではどのように楽しんでいられるか。インスタント派、それともドリップ派。必ず豆から挽くこだわりの方もおられるだろう。令和の今、自ら豆の採取に行く方がいても不思議は無いのかもしれない。
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今回の現場は庭のリフォーム、昨今ではリガーデンなどと言う。
左上画像⇑現状、手前側から駐車場、芝、砂利敷き。主目的は既存砂利スペースに丘テラスの建設と目隠しとなる。
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画像左上⇑、芝の奥側を一段盛り上げ丘状にした所にアルミ製のガーデンフレーム、パーゴラを立ち上げている。床を石畳風に敷き詰め、テラスを中心にその他の庭づくりが進んでいる。
次の工程は・・といつもなら現場での庭づくりが続くのだが今回は少し趣向を変えてみたい。
こだわりの豆探し。いや、素材探しである。この庭で使う庭石を一般的な石材店で購入せず、とある山で求めた。
画像右上⇗国内でも様々な石があるが新潟県産、県境にある山奥の採石場。ゴロゴロ転がっているこちらで物色。しかし、何か、少し、違う気が。
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予定外だったのは採石所にある石のサイズ。色々見て回ったのだが予想よりも大きい物ばかり。これでは今回の現場のイメージと違ってしまう。
しかし、何とかするしかない。
そこで大サイズの物を積み込むが現場に向かわず、当店の置き場で石を割って手ごろなサイズにする事に。

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戦国時代、城郭の石垣に用いる為の石切り場は今でも当時の姿が残っている場所もあるらしい。もちろん実物では無くネット画像で見たのだが、巨岩の様な石が真っ二つになった姿や割る為に掘った矢穴だけ残っている物などが見られた。
当時と違い現代では様々な機械があり、大型の機械で切断というやり方もあるだろう。しかし、今でも原理は当時に近い手法がある。石の硬さは今も昔も変わらない、硬い石にも目と呼ばれる筋があり、そこに矢穴(溝)を掘って矢(▼状の鉄工具)をあてがい玄翁(ハンマー)で叩いて筋目で割るやり方だ。言葉では石切りだが実際は割る。日本語の美しさ、妙と言うべきなのだろうが浅学の身には飲み込むまで、いささか時がかかって候ふ。
左上画像⇑石の筋目にマーキング。
右上画像⇗切り取りたい位置の目に沿ってドリルで矢穴を掘る、当時はノミで掘っていた。
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硬い石にせっせと掘った穴だがドリルの粉で大半が埋まっている。詰まった粉を送風機で排出後、金属製のセリ矢(くさび)を穴に差し込む。
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セリ矢をハンマーで順に叩き、くさび状の矢が少しづつ喰い込む。打撃音が少しづつ変化すると共に亀裂が入る。
鉄梃を差し込み切り口を拡げセリ矢を回収。

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画像右上⇗その他の石も同様に石切り。
割れた瞬間はやはり嬉しい。何人もで行う昔の石切り場では比べ物にならない活気があったのかもしれない。

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積み込みを行い、これにて完了。
次回、割った庭石を配置して丘テラスの仕上げを行う。

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