新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第176庭 方型石貼り・塗り材で仕上げるミックス門壁

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前回、半円型テラスを紹介した
今回は同じ現場での続編で門壁づくり。実際は同時進行で進めているので途中工程で前回の風景が映り込んでいるやもしれない。
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ブロックで門壁を組積する。ポスト内臓のメイン門壁とサブ門壁の2門。
サイズに違いはあるがブロックの厚みをそれぞれ変えてニッチ(壁の凹みや窪み)があり変化を付けたデザイン。
仕上げは方型石貼りと意匠塗り
天然の石と人の手による左官仕上げだがメインは石の風合い。主役を引き立てつつ仕上げ塗りも味が出せるようにできればと考えている。
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本塗りの準備に下地塗りを行う。
下地用の専用シーラーを塗布。仕上げのゴールに向かってブロック壁に層を重ねるように纏わせコーティングを行っていく。出来上がってしまえば、もはや判別できない一つの下地になってしまうのだが一つ一つに重要な役割、意味があるのでしっかり行いたい。
因みに今回の下地塗り用シーラーはドライアウト防止の吸水調整、つまりは剥離防止となっている。そして完全乾燥する事で効果を発揮するのがポイントになっている。
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シーラーの渇き待ちの間に下地塗り材を準備。
先程のシーラーを塗り材に入れて混錬。同じもので練り上げるので相性が良く接着力増強につながる。
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目地を中心にシゴキ塗り(薄塗り)を全体に行い1周して戻ってきた所で全体の塗りかぶせを行う。
シゴキ塗りとは通常よりも鏝のエッジを立てながら塗り上げる事で薄く塗り上げる昔からある左官技法。主に仕上げ前の不陸調整、全体を平滑に仕上げる為の調整で行う事が多い。
石貼りの部分は別のものを用意しているのでここでは塗らず、そのままに。
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下地塗りの完全乾燥後に仕上げ塗りの専用シーラー塗布を行う。
様々なシーラーがあるがその多くはなぜか白色。主成分は同じなのかもと考えがちだがそれぞれの専用シーラーを使用したい。
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仕上げ材でシゴキ塗り・色透け防止塗りを行う。
工程としては1回目に色の透け防止塗りを行い2回目に仕上げを行う。

余談だが色透けなら厚く塗れば一回で済ませられ効率が良いのではと言う話を多く聞く。当店では行っていないので真偽の程はわからないが一回でも大丈夫という話はあまりにも有名。
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シゴキ塗り後、仕上げ塗り。その後、メインの石貼り。
塗りは石を引き立てる役割があるが、突出しない程度の意匠性を持たせたい。パターン(塗り模様)はもちろん決まっているが最後は左官塗り、腕一本での仕上げ。塗り材の魅力でもある流動的な仕上げを意識したい。
石灰岩を砕いた石の粒、大小2種類を仕上げ材に混ぜ塗り上げる事でより動きのあるデザインになっている。
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今回使用するメインの石。
天然石の重厚感そのままにかなりの厚みがあった。人工物と違いもちろんどっしり重い。
貼りモノの重さは当然、剥離のリスクに比例する。
なかなか手強そうだ。

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貼りモノに定評のある「コンビハネタイル」を用意。
表には太文字で「驚異の接着力」とある。中身は2剤あり、よくあるポリマーセメントモルタル。セメント全般は主に水で練り上げる為、気温が下がると凝固しにくくなるものだが冬場でもしっかり固まり実績も備えている。
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凹んでいるニッチ部分に石貼りを行う。
多種多様な貼り方があるが今回は改良圧着貼りを行う。
画像右上、貼り付けモルタルを下地面に塗り、貼りモノ裏面にも塗り付け後、壁面に押し付けて貼り込む。
改良圧着貼りは建造物等に使用される大型タイルや重量物の貼りモノに使われる安全性の高い工法。その他にもタイル用振動工具を使って埋め込むように接着させるヴィブラート工法等がある。
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改良圧着貼りには一つポイントがある。
先にも伝えたが接着モルタルを下地面に塗り付け貼りモノにも塗り合体させる。言葉にすればシンプルだが実際はいくつかの問題が生じる。
双方にモルタルを塗る為、厚塗りになりやすく調整が大変タイトで加減次第で簡単にダレてしまう。そこでダレない様に薄くしがちだが下地にモルタルを塗り、タイルにモルタル塗る、さあ石を持って貼りましょうとなるが下地に薄く塗った接着モルタルが既に乾いて固まってしまっている。接着モルタルは通常よりかなりセメント力が強い為、必然的に硬化も早い。夏場などの強い日差しの時期は顕著に表れる。

そこで取り入れたいのが先にも記載したヴィブラート工法。
電動工具で微振動を加える事で接着モルタルに液状化を起こし固くなったモルタルを再度軟化させながら密着させ貼る事が出来る。
段取りを踏まえ効率よく行いたい。
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次回画像
門壁これにて完成。

次回、植栽・庭石などを使って門壁前に彩りを加えた最終仕上げ。

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