新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第175庭 半円テラス

大逆転は見るものに大きな驚きと感動を与える。
しかしその一方で逆転負けした敗者の落胆はいかばかりであろうか。

東京オリンピックのある競技で大逆転の末、日本勝利に歓喜する一方で負けた相手ドイツのうつむく女性選手の肩にペアの男性選手が手を添えていた。舞台が五輪ともなれば緊張も想像を絶するものだったであろう。日本人は一生懸命、ひたむきに頑張るイメージがあるが海外アスリート達の負けず劣らず振り絞るような姿に胸が熱くなった。

オリンピックは閉会したが未だ気温は高く蒸暑い。日本原産の言葉に惹かれ三つ葉の種を購入した。家族は意外そうにしていた。立派に育てたら驚くだろうか。
名残を惜しむようにパラリンピックの日程を確認しつつ、身近にもきっとある小さな逆転を探している。


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今回は半円テラス。
現場には掃出しの窓がありコンクリート製の犬走り兼階段がある。
そこに半円型のテラス工事を行う。

下地を安定させる為、テラス部分の掘削を行い残土を処分した後、砕石を投入している。

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テラスは天然石の乱貼りとコンクリート刷毛引きのハイブリッド仕上げの予定。
投入した砕石をコンパクター(転圧機)をかけ締固めを行う。
石貼りやコンクリートと聞くと十分強固に思えるが下地が安定している事で全体の強度が増す事になる。仕上げも重要だがそれを支える下地も同様に行いたい。

砕石転圧後、サークル中心点に鉄筋棒を穿ち紐をかけた。
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紐の先に鉄筋棒を結び付けた簡易コンパスで半円を描く。

分かり易い様に赤のチョークパウダーをふりかけつつ行った。
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赤線をなぞるように専用の木枠で半円型に組む。
木枠は鉄筋棒で固定。

サークルはちょっとした加減で円のバランスが崩れてしまう。淀みない半円となるように再度、簡易コンパスを使ってサークルの曲がり具合の確認等行いたい。
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ワイヤーメッシュを敷きならべ部分的にコンクリート打設。

コンクリートを打設した部分が石の乱貼り。中央の空いている部分は最後にコンクリート刷毛引きで仕上げる事になる。同じコンクリートなら一緒に行った方が効率的では?と考える方もいらっしゃるかもしれない。しかし、下地コンクリート上に貼る石貼りに隣接するように仕上がるコンクリートの刷毛引きは同時進行は難しく仕上がりの観点からも満足いく水準に至らないと予想し別々にする事とした。
しかし、別々とする事で一枚岩にならない為、後々石貼りと刷毛引きの境目で剥離・縁切れ・分断が起こらない様に骨組みとなるワイヤーメッシュを下地コンクリートから刷毛引き仕上げの方に張り出している。

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天然石の乱貼り。
品のある石の色あいに目を奪われがちだが天然ならではの鉱脈スジによる模様や風合いも魅力の一つだ。
一つ一つの形を見ながらパズル合わせを行っていく割り付け。石と石の隙間(目地)が広くなりすぎない様にグラインダーでカット加工を行う。ほぼすべての石を行うので、これが実に手間がかかる作業なのだが「乱貼りは目地で見せる」とも言われている程、仕上がりに直結する工程。そして職人によって違いがでるので注意したい。

余談だが「自然な石の風合いが良いのでカット加工はしない方が良い」という言も聞くがそう言うのは決まってつくり手側からでお客様(見る側)から伺った事はない。
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下地コンクリートに貼り付け材をのせ割り付けてあった石を重ねてハンマー等で圧着。
剥離しない様に圧着させる事も重要だが、全ての石が平坦に仕上がるようにも考慮しなくてはいけない。
叩きすぎによる凹みが無い様、水糸を仕上がり高に張ってそこに合わせつつ石貼りを行う。
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目地入れを行った後、目地拭きを行う。
目立つ天面ではなく後回しにされがちな側面から拭き作業を行った。職人も人の子で集中力に限りがある。顔役の天面を仕上げ拭きした後に側面となると気を張った分だけ安易になりやすいのでこの順番で行っている。
決して側面が先じゃないと良くないわけではない。
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いよいよ顔役の仕上げ、天面の拭き作業。
気温が高い場合、目地埋めの際に硬化が進みすぎる事で拭き作業の遅延、目地の仕上がりが悪くなったりする事もある。
特に夏場は部分的に区切って行い、円滑な作業も考慮したい。
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テラス中央部分のコンクリート打設。
硬化後、木枠をバラシて完成。

次回、同現場で行われた玄関前の石貼り門壁。

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