新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第165庭 大階段タイル 仕上げ編

先日ある記事を見かけた。
55年前の10月1日午前3時前に起きた昭和新潟大火、丁度通過した台風の強風に煽られ火の手が広がり市内中心部は焼け野原、壊滅的な打撃を受けたとあった。
気になり検索してみると当時、大火災の中でラジオ新潟(現在のBSN新潟放送)は百貨店屋上から生中継を行い、アナウンサーは強風に煽られぬように自らをマイクのコードで金網に括り付け、火の手が近づくまで状況を市民に伝えたとあった。奇跡的に死者は一人もでなかった。

修行時代を思い出す。専門用語づくめで何を指示されたのかが理解できず怒鳴られ、全身が筋肉痛の中でスコップを毎日振るっていた。只々必死だった。
気持ちに時代や職種は関係ないと信じたい。
小さな事から今日も明日も努めたい。



DSC_0582

2階部にある玄関に続く大階段のリフォーム。

前回、階段の根底となるコンクリート打設までを紹介した。まだ見ていない方こちら⇒基礎編
今回は⇑画像、前回からのつづき。
b59363343336128d53c695dc673e25c23

3ec0d4c4324c03e7660d326e60a074cb

使用するタイルの大きさに合わせて基礎階段をモルタルで成形する。タイル下地と言う。
今回は300mm正方形のタイルなので一段の踏み面は目地幅を含めて305mm、2階まで続く階段は全部で12段、途中にある踊り場の水勾配を差し引いて1段の蹴上高さは13.8cm。外部の階段は15cm程度が一般的だが、登りやすくという事で算出した。
寸法通り木枠を組む。
a90997d66fcd86b06f6b9c353990f101

f005dedf60fd489cccf8967b889c276d1

いよいよタイル下地を行う。
まずはモルタルが剥離しない様に白色の接着剤(セメント接着増強剤)を塗布し少量のモルタルをコテを使って混ぜ合わせる。基礎コンクリートとモルタル両者に馴染みやすい接着モルタルとなるので、それをコンクリート全面に広く伸ばしモルタルをその上に被せる事でモルタルの剥離防止を行う。
14c6d7294b3bd30152a671295bd290f1

261c421c07ce8e11d564877136b7c2f1

上記で記載した、接着剤⇒接着モルタル⇒モルタル⇒平滑に均し
この一連の流れを一段づつ行い上から順にタイル下地をとっていく。
5ad8105efd00145a8737259303d401f5

階段蹴上げ部等のタイルカットを事前に行う。
切りモノを済ませておく事で貼り付けがスムーズに行えることはもちろんになるがタイル貼り付けに使用するモルタルの練り上げから硬化までの時間が短縮されるので接着強度の低下を防ぐことが出来る。
6f0b471af87090ef5785ab3c7d7858252

平滑に均したタイル下地に専用の櫛ゴテで均一にモルタルの配り塗りを行う。


dd21d3f00bc006260bf09be4a276d8b6

d32c96960ae844e1e4c114a15530e8c5

タイルは経年変化が少なく高級感もある。仕上げ素材としては素晴らしいものだが剥離しやすい一面がある。その為、微振動するバイブレーターを使用し圧着貼りを行う。

タイル貼りには5mmの凹凸に加工された櫛ゴテが一般的だが、当方はモルタルをより多く配れる8mmの櫛ゴテを使用している。左画像、貼り付けモルタルにタイルを圧着。モルタルが目地から溢れ出てる事でタイル裏側に空洞無く密に圧着された証となる。溢れ出たモルタルはタイルを汚すので清掃に手間がかかり非効率を嫌う傾向が昨今ある。手間を取るか?しっかり貼り付けるか?
効率重視の今の令和で後者を選択する職人はどれほどいるだろうか。

昭和の親方達は手と言葉が同時で決しておススメできないが、とにかく一生懸命だった。そしてド根性が好きそうだった。
440158ea6e7543798036f3e88bd270c310

52d83b9fc4bb19de15724817fb1a50b98

目地材をゴムゴテを使って入れ込み、スポンジで拭き取りを行う。
吸水の激しいセメント部分や凹凸のある場所は拭き取りに時間がかかってしまい、その他の仕上がりに影響があるのでテープ等を事前に貼っておく事で拭き取りが円滑に進める事が出来る。
bfae3e7a59b61859a736be4b9eedcc47

1ec8ee5268d002d1b3976fa4f3deaee81

b0a1f81c5fda715cfec6b755061540f5

1adab0d3a97a6694f569d107605907f4

仕上がったタイルにグラインダーで切り込みを入れ手すり柱の穴を開ける。
下地のコンクリート部分は基礎編で紹介したがボイド管で事前に穴を開けておいてあるので軽くハンマーで叩けば簡単に貫通する。
モルタルを入れた後、柱を差し込み上部の手すりを組み上げ。
f78c1b82d0e3dcd480e5ed0c4c4fafbb1

002d3d1ac653784dffd3001d5c8ecd6b3

4021cad7afa992ae7afb53ac15a91aeb1
これにて完成。


越後職人が手がけた これまでの仕事が掲載、履歴一覧はこちら

【越後職人宅の庭づくりをスライドショーで紹介】