新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第124庭 庭の花壇にシンボルツリー

新潟地域の農家さんは「GWは田植え」とよく伺う。少し暑くなってきたこの時期にいつも思うのがあの泥の中に素足を入れたらどんなに気持ち良い事かと想像を膨らませる。田植え体験の募集を見かけるたびに家族を誘うが毎回良い返事がない。泥の中で足が抜けないと言って転ぶ姿を演じるのは来年以降だ。
植え込み前
庭工事はほぼ完了し最後の仕上げにシンボルツリーを植える。花壇中央部に植え、後日ビニールをかぶせた照明の電源をいれてライトアップさせる予定。
元肥
植えこむ前に元肥となる固形肥料を穴にいれ土を軽くかぶせてからその上に根を入れ植えこむ。重要なのは肥料を直接根にあてると傷める事になるので注意が必要。少し根から離し養分を求めた根が拡がる様になる状況が望ましい。
バーク堆肥
バーク堆肥を土と混ぜ、植木の根回りに入れて植えこむ。植木にとって肥料も大事だがもっと大事なものがある。皆さんご存じ「水」。バーク堆肥は主にその水を通気・排水・保水させてくれる根にとって都合の良い水管理をしてくれるために行う土壌改良材となる。養分となる肥料とは用途は別物なのだが勘違いしやすいので注意したい。
シュロ縄

男結び
根回りが決まった次は支柱をたて植木が倒れないように養生(固定)を行う。植木は通常男結びで縛るのが定番だが、必ずしもそうでなければいけないという事では無い。大事な事は強風などによって根が動かされ水を吸い上げる大事な毛細根が切れてしまわない様に固定する事にある。シュロ縄は滑り良くしっかり結べるように事前に水で湿らせおくと良い。縛る時はまず横に巻きつけその後、植木と支柱の間にも縦に巻き付け割りを入れる事で横の縄が絞められ、より固定され先々も緩みづらくなる。もしご自身で植える際に男結びが分からないという事であれば割り入れは必ず行い最後は固結びでも構わない。
水極め前

水極め
水極めを行う。根の回りにかぶせた土に隙間があるとその後、根が伸ばせられないので水を大量に入れ隙間を埋め土の活着率を高めるために行う。根が拡がっていないと風で簡単に根が動いてしまうのでやはり毛細根が切れてしまう。ホースに細長の塩ビ管などを差し込み水を送る事で土中深くの空隙を無くすことができる。応用技で支柱も奥底まで水極めを行う。新潟は強い台風こそめったに襲われる事はないが冬場の風は決して植木に優しくないので根も支柱もしっかり水極めを行いたい。
剪定前

剪定後
最後の工程は剪定。押さえておきたい事は2点で成長を促進させるために、そして美しく見える形に枝を切る事となる。この2点に共通している剪定個所は枝と枝が混み合い重なり合うように伸びている部分を主軸に鋏を使う。重なり合った枝と枝は擦れお互いを傷つけあいだけでなく、見た目にも乱雑でスッキリしない。枝を落としさっぱりすれば風通しがが良くなり病害虫の予防にも効果がある。植木は下部よりも上部の方が新芽を延ばす傾向があるので上を強めに落とし三角錐の形に整えていくと良いとされている。
完成

完成1
これにて完成。植木に維持管理は付き物だ。やがて花壇の土の部分も雑草が少しずつ生えるので抜かなくてはいけないだろう。しかし手間はかけたくなかったので植木は少なくと言っていた方が世話をするごとに愛着がわき、庭に木を増やしたというケースもある。お忙しい方は自分のできる範囲で一年草なども良い。新芽や花が芽吹く植物を育て生き物の成長を見るのは少なからず命の躍動が感じられるはずだ。塗り壁の向こう側に広がる水田の景色が変わる頃、このオリーブの木にも若い新芽がいくつ風に揺れている事であろうか。


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