新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第179庭 タイル門塀 基礎・ブロック編

休日のランチはハードルが低い気がする。品数も少なく済む。
そんな心積もりの中、簡単な男料理を家族サービスと言いつつ振舞った。「勤労感謝の日なのにありがとう」と言われ、そこではじめて何の日か知った。
思いがけないありがとうの一言で温かい気持ち、いつもの日常が違う色に見える気さえした。
勤労感謝の日を調べると「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」1948年公布とある。戦後復興から躍進を遂げた、高度経済成長が始まる7年前になる。苦しくも励まし合うような姿があったのだろうか。

2022年は笑顔で多くのありがとうを伝えたい。
表情が分かりづらいマスク越しでも。
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今回の現場はタイル門塀。
新築のお宅で外構に庭も含めたトータルプランの中で家の顔となる門塀2門にスポットを当てる。

事前に広い敷地内の草刈りを行いお客様兼工事車両の駐車スペース掘削・砕石敷き固めを行った。
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門塀の立ち上がる位置で土砂掘削。
大人の背丈程度の高さになる門塀。規模に見合った基礎・ベースコンクリートの必要がある為、重機による掘削を行った。

↗右上画像、砕石を投入。白いジャバラ状の管は門塀のライトアップ用電線管で最下部に事前埋設。
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根固めの第一層目となる砕石をコンパクターで転圧、締固め。
第2層目が基礎(ベースコンクリート)。門塀の根幹となる部分になる。

↗右上画像、ベースコンクリート用の枠を設置。仮となる鉄筋の骨組み。後々に抜くが縦筋を地面に打ち込み後、上下に横筋を這わせ結束する。繰り返しになるが地中に打ち込んだ鉄筋は必ず抜かなくてはならない。

理由がある。地中へ鉄筋を打ちこむ行為、実は問題が生じる。
鉄筋は言わずと知れた鉄で出来ている。鉄は錆びると膨張しその力はコンクリートをも破壊する。国家資格であるブロック技能検定でも鉄筋への取り扱いは厳重だ。地面に打ち込まれた鉄筋はいくら上部をコンクリートで固めても地中の水分で下から上へ徐々に腐食が進みコンクリート内部の鉄筋にまで至り膨れ、ひび割れを生じさせてしまう。
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L字状に曲げ加工したL字縦筋を先程の横筋に結束。
今回はご覧の通りL型基礎。
簡単に言えば人間の足の形と同じで足の甲の部分で体を支えている様にL型基礎も横転・転倒のリスクは極めて少ない強固な構造体の一つと言って過言はない。結束にはハッカーと結束線(なまし線)を使用。L鉄筋の間隔はブロックの横幅と同じ400mmにする事でブロックの各ジョイントにL字縦筋が配置され強度が均一化された構造の門壁となる。
鉄筋は人に当てはめれば骨。骨がズレれば体もズレる。鉄筋組みは念入りにしたい。

↗右上画像鉄筋組み完了。画像左上部、不自然に枠抜きされた箇所は門扉の柱が立つ予定位置になっており予めコンクリートに絡まないよう区切っている。
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ベースコンクリート打設。
ここで満を持して地中に打ち込んだ縦筋と順次結束を解いていく。
タイミングはコンクリートを打設しつつ打ち込んだ縦筋の根元が隠れる寸前。事前に解くと楽で良いがコンクリートの打設(流動圧)によって鉄筋に動き・ズレが生じ、上部に積み上げるブロックの配筋位置と誤差が生まれる。寸前まで打ち込み縦筋に固定しておきたい。

口で言うは易しと感じる方もいられよう。
徐々にながらも硬化し続けるコンクリート打設で細やかな作業を含めつつ行うのは簡単ではない。一つ一つしっかり行いたい山場の工程だ。
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打ち込み縦筋は結束さえ解いておけば引き抜きはそう難しくない。
もちろん硬化する前が前提なので打設後、時間を空けず行いたい。
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ベースコンクリートの鉄筋もそうだったが根元である土台はしっかりつくりたい。一見変わら無い様に見えるが通常のブロックでは無く型枠ブロックで根付け。
型枠ブロックは型を枠を組んでコンクリートを流し込む基礎コンクリートと同等の強度を誇る。

↑左上画像、型枠ブロックの特徴は内部が大きくえぐれている点だ。
ブロック内部で鉄筋を配置しコンクリートを打設できる。通常のブロックも鉄筋を入れる事は出来るがコンクリートは入れる事が出来ない。つまりコンクリートと鉄筋の両立が可能となっている。
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型枠ブロック根付け後、横鉄筋を配置しコンクリート打設。

もう一つ、型枠ブロックには特徴がある、工期短縮だ。
ベースコンクリート打設 ⇒ 型枠ブロック根付け ⇒ コンクリート打設
上記の画像で確認できる通り型枠ブロックはこれが連続で行える。もちろん段数が高く(量が多く)なれば連続は厳しくなるが今回の規模であれば十分に進めて行く事が可能だ。

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下地ブロック組積。

ベースコンクリートから一直線に伸びる縦筋がブロックの各ジョイントに収まり横にも鉄筋を配置しモルタルを使い積み上げていく。
↗右上画像、ブロックの厚みを変えて積み上げ、門塀にニッチ(凹み)をつくる。仕上げはタイルの予定だがニッチ部分に違う仕上げを組み合わせてデザインに変化を加えている。
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縦の鉄筋はブロック上部で折り曲げ定着させる。

ベースコンクリートの工程から追ってきた一本物の縦の鉄筋はこれで任務完了となる。
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ブロック上部に横筋を配置、モルタルで埋めコテ均しにて下地完了。

目立つ部分がクローズアップされやすいのは当然だが表があれば裏もある。
一般的にタイル門塀をつくるとなると基礎は型枠職人、ブロックはブロック職人、仕上げはタイル職人と別々の人間が分業しているケースがほとんどと言っても過言ではあるまい。それがどうという事ではないが後になるほど色々な扱いや待遇が変わったり、仕事を引き継ぐごとに前者の至らない部分に気づいたり気づかなかったり、又は手直ししたりしながら作業を進めるパターンが日常的にあったりする。

そこで分業をせず手掛けた職人が基礎から仕上げまで、その庭の最初から最後まですべてを行う。特例が無い限り引継ぎはない。
その為、技術はもちろんだが多くの工程を踏まえた準備を怠れない。もちろんサポートする手元(補助)の者はいる。しかし主だったものは自身で仕上げるのだ、たとえ問題があっても他者に頼らず己で解決する。必然的に一つ一つ確認しながらやり易くつくっていく事になる。
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次回、組積した下地にタイル・石貼りのミックスデザイン、仕上げ編。

もちろん同じ職人がつくり画像も収める、へっぴり腰で。
傍から見れば多少シュールな光景だが今日もつくっては撮っている。
この仕事を少しでも知ってもらいたくて。

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【越後職人宅の庭づくりをスライドショーで紹介】