新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第178庭 玄関脇の植栽

普段、何を食していられるか。
食欲の秋である。
美味いものが多い季節はもちろんだが、この時期になると栄養を蓄えるため食欲が増すという説があると聞いた。イソップ童話「アリとキリギリス」では無いが我々の体は冬支度に向けてせっせと準備を始めているというのだ。
食事を控えている身なので、日常の食事には葛藤がある。今日も今日とて欲求と健康の天秤上でもがいている。
いっそ、たらふく食べて春まで冬眠したい。
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今回は植栽、玄関脇にある坪庭程の花壇が今日の現場となる。

ポイントは花壇のすぐ背に住宅を背負っている形。
住宅部とのマッチング、視線が集まる玄関脇、奥行き(スペース)に制限のある花壇。条件がある中での活かし方。
しずかに燃える要素が揃っている。

3本の植木を用意。
全体を見ながら配置し土に堆肥を混ぜ込みながら根回りをきめていく。
バランスが重要となる。「樹形」という言葉がある様に個々の樹木には形がある。3本を只、等間隔に置く様に植えるのではなく枝ぶり・縦・横・斜め・角度も確認したい。
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排水を考慮し真土に砂を混ぜてある。その他に植物性のバーク堆肥、動物性の牛糞堆肥を加え撹拌。
土には保水力・排水力・保肥力が欲しい。注目したいのは保水と排水、相反する二つ。
水が無ければ植木は枯れてしまう、保水が必要だ。しかし長期間留まった水は腐ってしまう。身近な水道水には腐敗防止の為の塩素(カルキ)が入っている。しかし土に含まれる養分が水に溶け込み時間が経つと菌が増殖し腐る。その汚れた水を吸収した根は先端から腐り始め、やがて芯にまで達してしまう。
その為、根回りの土にはある程度の保水性、そして真逆でもある排水性が必須になる。

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下草(宿根草)と石を配置。
この両者により彩が増えるのは言わずもがなだが、実は見栄え以外に実用性も兼ねている。
下草は植木の根回りに日陰をつくり保水を生み、石を置く事で土の起伏(ダム)をつくり保水と排水を促している。
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風で根鉢が動いて痛まない様に支柱をかけ養生を行う。
杭と植木の連結には右画像、擦れ防止の杉テープを巻きシュロ縄を使って縛り固定する。

ご自宅で行う場合、杉テープとシュロ縄に固執する必要はない。ポイントは動かない様に固定する事にあるので擦れない様に厚手の布やビニール紐等で代用しても良い。しかし2~3年の後、ビニール撤去を必ず行って頂きたい。ビニール紐は耐久性があるのは良いが自然のシュロ縄と違いいつまでも残り締め続けるデメリットがある。木は生き物なので成長する。根が伸びれば支柱の必要はなく無用の長物となるので一時的な物と思ってもらいたい。
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シュロ縄で結束。
シュロは繊維が太く強くて良いが、そのまま使用すると毛羽立ちが多く縛りづらいので事前に水につけて置くと滑りが良く扱いやすい。
業界で植木の結束は男結び(イボ結び)と相場が決まっている。確かによく絞まる結びだが一つ懸念がある。
以前にも記載した事があるが一般の方から男結びを聞かれるが残念ながら断念される事が多い。当方の説明にも問題があるかもしれないが男結びのハードルは決して低くない。

にわかに行う緩い結びよりも簡単に行える固い縛りをお奨めする。
画像右、支柱と植木の横縛りに加えて縦縛り(割り)が見て取れる。紐をきつめに引っ張りつつ幾重に横縛りを行い支柱と枝の隙間にそのまま縦縛り(必ず紐を引っ張りながら行う)を3重以上加える事で最初に行った横縛りがさらに締まり固い結束となる。最後の結びはよくある片結び2回で良い。
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最終調整で下草・宿根草の増減を行い、その他の土部分に敷きバークを施した。
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冒頭でも記載したが奥行に制限のある花壇スペースだったので俗にいう枝ぶりのあるようなボリュームの植木は適していなかった。そこで背丈がありスッキリした形の3本をそのまま垂直に植えるのでなく真ん中の木を中心に左右が広がるように植えている。

時期的に少し葉を落とし全体に少しスッキリしているがアリやキリギリスといった虫達が冬眠から目覚める来春には家を背に若葉が扇状に広がる

これにて完成。

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