新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第170庭 石壁の目隠し 構造編

近年プラチナの価値が依然と比べかなり変動していると記事を見た。昭和人からすればプラチナは高価で希少金属。実際、日本は世界有数のプラチナ消費国で婚約指輪の約9割、結婚指輪の約8割がプラチナで占めているらしい。
プラチナとホワイトゴールドの違いをご存じだろうか。
プラチナは生まれながらの白金色に対してホワイトゴールドは元々金色のゴールドに対して白色のシルバーやパラジウム等を混ぜた合金で時間経過と共に変色したりする場合があるらしい。プラチナとダイヤの指輪の謳い文句で「永遠の輝き」等と聞いた事があるが、なるほど変わらない理由があった。
「世界屈指プラチナ好きの日本人」と言われている事を知り、誇らしいようなハードルが上がったような。
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今回の現場は庭の目隠しづくり。

目かくしは約2mの石壁とアルミフェンスとの複合。石壁はコンクリートとブロックによる壁体で、天然石の乱尺貼りで組積みの仕上がり。
特筆したいのは人の背丈を超える大壁になるので構造は万全を期さなければいけない。
繰り返しお伝えしているが見栄えの良いデザインは同等以上の構造が必須になる。なぜか。
良い物もおかしくなっては良い物でなくなってしまう。
美観を保つ安定した土台。根入れで多くが隠れてしまう基礎が実は最重要で壁体の根底となる部分になる。

建築基準法をご存じの方は多い。ブロック建築も建築基準法に定められている。しかしそれは「最小限守らなければいけない事」として規定されている事をご存じの方は決して多くない。お国が決めた法律は守っているから安心と思ってしまう。「最小限」の一文が表に出る事は極めて少ない。
より安全に規準を置いたものに日本建築学会が定めたブロック建築の規定がある。解りやすい例がある。建築基準法(法律)では使用するブロック厚みは10㎝以上、日本建築学会では12㎝以上を規準に定めており単純に2割の違いがある。
双方を踏まえた技術者の技能を評価する国家資格にブロック建築技能検定がある。浅学ではあるが検定で学んだ経験を基にブロックの見えない部分も紹介したい。



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初手は既存の生垣を撤去し壁体の着手。
続いて掘削及び残土搬出。
現場は裏手の庭、重機は使用できないのでマンパワーで行う。
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壁体の構造は下部を型枠ブロック(コンクリートと同強度)を用い基礎とし、上部はCB(コンクリートブロック)で組積する。同じブロックだが上部と下部のブロックの違いは単純で両者セメントで固めているが下は石入り、上は石無し。必要強度、適材適所、用途で使い分けている。
壁の最下層を支えるのは砕石、転圧もしっかりかける。基礎の深さは安定と比例する。根入れを考慮し地表面より60cmの深さまで掘削し砕石で根固めを行っている。
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基礎の鉄筋組みを行う。
使用するのは異形鉄筋(異形棒鋼)、基礎形状はL形。加工した鉄筋をなまし鉄線を使い結束する。
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ベースコンクリートを打設し型枠ブロックの根付け。
左の画像、組んだ鉄筋と最も左にある縦の鉄筋(地面に刺さっている)にハッカ(鉄線を結束させる道具)を使って鉄線をほどいている。コンクリート打設中に結束した鉄線をわざわざ解くには理由がある。
組んだ鉄筋は定められた位置に配筋されることで最大限の強度を発揮する。しかしコンクリートの流動性により全体が多少のズレや動きが往々にして起こってしまう。そこで地中に打ち込んだ鉄筋と組んだ鉄筋とを結束する事で正確な位置を保持している。
ここでよく見落とされがちなのは地中に打ち込んだ鉄筋をそのまま放置しコンクリートを打設、すると後々大きな問題が生じる。

地中に打ち込んだ鉄筋は時間と共に地中内で腐食が進みコンクリート内部にある鉄筋まで到達し錆びさせる。錆びた鉄筋は膨張、その力は凄まじくコンクリートを内部から圧迫しひび割れを生じさせる事になる。
どんどん固まっていくコンクリート打設は忙しない工程だが心を亡くし忘れるわけにはいかない。地中に打ち込んだ鉄筋の引き抜きは必ず行わなければならない。

画像右、ベースコンクリート中央部分に円筒上にくり抜けれた部分はライトアップの事前準備した配線及び水抜き穴。
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基礎に型枠ブロックを用いる。
工程が少なく済むので時間、コストが抑えられる特徴がある。もちろん仕上げ等によって変わるので一概に言えるものではないが強度は公式に認められている。

検定によくある問題。鉄筋はブロックやコンクリート内部の中心に配置される必要があるが縦・横が交差する部分ではどちらを中心にしなくてはいけないか?(実際の検定と文章は変えている)
画像右、型枠ブロックは配筋しやすい形状になっており縦筋、横筋が正確な位置に配置されている。ブロック上部、横筋の溝があり中心より僅かに奥手側に配筋されるようになっている。即ち縦筋を中心に定め横筋を添える形状としている。

答えは縦筋が中心。
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型枠ブロックの組積後、コンリート打設。
画像左ブロック下部、内部が見えるのはゴミ出し穴。何か落としてしまった時、異物の除去用に開けている。もちろん最後は枠で塞いだ後、コンクリート打設を行う。
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基本       横筋     コーナー
CB150-2
 基本    横筋(裏)  コーナー(裏)
CB(コンクリートブロック)は主に3種類の形状がある。
左画像、左から基本・横筋・コーナー。コーナーとは端部に使い、横筋は横配筋(横に鉄筋をいれる)に使う段、基本はそれ以外の段で積むブロックになる。
今回注目したいのはコーナーと横筋。画像左、ブロック上部のえぐれた形、簡単に横筋を配筋しモルタルで充填できる形状になっている。しかし、必然的にこの2種だけはそのまま積むとモルタルが充填できずに空洞のまま残ってしまう部分がある。右画像でブロック下部を映した。一目瞭然だが裏側は空洞になっている。通常この空洞はそのままで問題ない。もちろん強度的にはモルタル等で充填し埋めてあった方が強い。しかし技能検定でもそこ迄は求められておらず埋める事にはなっていない。
しかし今回は強度以外にも埋める理由がある。詳しくは関連する仕上げの過程で説明したい。ここでピックアップしたいのは裏側の充填。

横筋を使わない事にした。空洞部が多い横筋用のブロックを使わず基本とコーナーだけで組積する。基本ブロックはすべての穴が開いているので充填は容易に可能。しかしブロック上部に横筋を配筋するえぐれが無い為、グラインダー(切断機)を使って全ての基本ブロックにえぐり加工を施した。画像左、コーナーブロックの空洞部分は積む前に事前充填し硬化、対応する事とした。

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コーナーブロックの空洞部分を充填し硬化。CBの組積を開始する。
基本ブロックは組積しながらモルタルで充填を行う。基準法・建築学会共に横配筋は80cm以下と定められているが今回は配筋20cm間隔、つまり全ての段で行った。
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左画像、モルタル充填する時は突き棒などを使い空隙が無いように行う必要がある。
強度向上の面で重要な役割を担うのは骨となる各種鉄筋になる。多くが有鉄筋でブロック積みを行っていると思うが最後にピックアップしたいのは縦筋の端部。途中にも解説したがブロックの中心に据える縦筋は最も重要となる。その縦筋の結びをどう行うか。

右画像、縦筋の上部はかぎ状に折り曲げ加工を行わなければならない。ブロックとブロックのジョイント(連結部)に縦筋をブロック最上段で曲げ、壁の最上部をロックする形にする。最下部から伸びる縦筋で上部を押さえる事でブロック全体の固定・安定につながる、非常に重要なひと手間となる。
左画像、組積したばかりのブロックはズレやすいので鉄筋の折り曲げはブロックに影響を及ぼさない様にモルタルの充填をする前に行う。固い縦筋の折り曲げ加工を当日行うのはその他に技術が必要となる。ならば硬化後、行えば良いのだがそこで工事がストップする事でコスト問題が生じてしまう。庭のリフォームで時折ブロックを解体する工事をさせて頂くが壊したブロック造の縦筋上部の折り曲げを新潟で見た事はない。

しっかり手をかける事で高品質になるが往々にしてコストも比例する。それが良いか悪いか、そこまで必要か否か。新潟の、そして身近にあるブロック造はどうであろうか。議論の前にまず知らなければ判断しようも無い。貴金属の様に「永遠の輝き」は恐れ多いが長く使うものとして内容や理由も加えて覗き見れば、今までと違った見方の中に輝きもあるのでは。
次回仕上げ編。

つづく。
越後職人が手がけた これまでの仕事が掲載、履歴一覧はこちら

【越後職人宅の庭づくりをスライドショーで紹介】