新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第135庭 コンクリート・刷毛引き仕上げ

春となり山開きの報が続々と届く。雪解けを待ちわびた登山者も多いだろう。

初心者マークをつけてどの山を目指そうか。調べてみると角田山では3月から4月にかけて高山植物の雪割草が可憐な花を咲かせ、続いてカタクリの花が斜面一面を紫で覆いつくすように群生するとあった。角田山には7つの登山コースがあり、それぞれ難易度や景色、咲いている山野草の種類があるらしい。ルート選択を考えるだけで面白い。十分な睡眠をとって目覚めた清々しい朝に、春の風を吸いこみながら頂上を目指したくなった。

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今回の現場はスロープの土間コンクリート。ポピュラーな存在だが様々な工事現場に活用される良い意味で頼れる固い存在。一つ一つの工程をなぞりコンクリートが発揮できる強度・パフォーマンスをしっかり実現させたい。

現状は左右に土留めがしてあり奥側には木枠をあてがっている。事前に砕石を入れ転圧を加え敷き固めてある。

6mmワイヤーメッシュ

JIS規格の直径6mm鉄線を15cm間隔で溶接されている鉄線・ワイヤーメッシュ(以後メッシュ)を敷き並べる。

DIYを予定されている方にコンクリートを安くする為にメッシュを省いても大丈夫かと聞かれた事があるが、工程の中でメッシュ程飛躍的にコンクリートの強度を上げるものは無いと思うと伝えた。短期的にひび割れ等がおこったりせず長らく使える事によって結果的に安価で済ませられる。強いコンクリートをつくるためにメッシュの使用は最重要工程と言っても過言ではない。

結束
メッシュ同士の結束。弱くなりやすいつなぎ目を15cm(1マス)以上重ねて結束線で縛る。
生コンクリート
いよいよ生コンの打設。

セメント・砂・水を加えて練ったものがモルタルでそこに砂利を加えたものがコンクリートとなる。噂程度の話だが昔、セメントを水でこねたものでレンガもどきを積んでいたらしいがそこに砂を混ぜた所、より硬くなる事に気づきさらに砂利を入れる事によって固さ・強度が上がるという事で構造物に使われるようになったと聞いた事がある。

メッシュ被り厚
コンクリートは圧縮には強いが引っ張りに弱い性質がある。つまり負荷がかかった時にひび割れが発生しやすいので内部に鉄線を入れ強度を上げている。ご近所にコンクリートの大型構造物がもしあれば近くで見て頂きたい。新幹線や高速道路、幹線道路の高架橋等のコンクリート部分は必ずひび割れが起こっている。引っ張りに弱いからだ。しかしそのヒビが拡がって倒壊しないのは内部鉄線があるおかげとなっている。つまりコンクリートの骨となる内部鉄線を入れる事で引っ張り強度を上げている。

メッシュは人間で言えば骨のように内部の中心に位置している状態が望ましいのでメッシュを敷いたままにせず持ち上げ浮かせつつ打設するか事前に準備できるスぺーサーを使用したい。

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一回目の均しとなるが打設直後は軟らかく水分を多く保水しているのでコテ波が無く綺麗に仕上げる事が難しい。俗っぽく言えば最初は水っぽくぶよぶよしていて形が上手く定まらない。徐々に保水率が下がり硬化が進むので時間と共に仕上げていかなくてはならない。

タッピング
中締まりした段階でこの金網器具で細かくコンクリート表面を叩く作業、タッピングを行う。振動を与える事でコンクリートが液状化を起こし内部の気泡、空気を浮かせ密実になると同時に砂利を内部に沈み込まれるのでコテでの仕上がりが良くなる。軟らかい状態で強く行いすぎると形がくずれ凸凹になってしまうので注意が必要。

均し2
強めの勾配で軟らかいうちはダレて平滑になりづらかったが水が飛んで思うようにならせる頃合いになった。

刷毛引き仕上げ
刷毛をひいて仕上げる。滑り止めにもなるので寒冷地ではよく見かける仕上げ。

面取り
刷毛を引いた後に木枠をあててある部分の面取りを行い、これにて完成。

通路の役割を果たす部分では直角の角を斜めに仕上げ欠け防止を行う。おでんの大根の面取りと同じである。まあ「角が立たない様に」した。

 

4月初旬おでんも良いがフキノトウの天ぷらが出回る頃、角田山でアタックに挑んだ。通常ヒマラヤやそれに近い高山での登頂を目指す時に使用する言葉らしいが、怖いもの知らずの初心者という事で目を瞑ってほしい。

登山コースは日本海と今時期雪割草とカタクリの群生が両方望める可能性がある浦浜登山口から昇り下りは途中、越後平野が一望できる観音堂のある角田山の代表的な、稲島登山口とした。8時過ぎ家内と娘に見送られ登り始める。幸運にも浦浜コースでカタクリの群生、おそらく白の雪割草を見る事が出来た。山頂から少し下った観音堂では角田山以北の雄大な景色を見ながら小休憩をはさみ2時間10分で息子と共に下山した。朝とは違った駐車場で待っていてくれた家内と娘には帰り途中、感謝と共にケーキを買い赤塚で人気のパン屋に寄って早めの昼食を振舞った。今後少しづつ角田山7つの登山口を上り下りを別ルートにしながら制覇したい。そして毎回、角が立たない様に言わば面取りのケーキが付随する。

 

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