新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第127庭  タイルテラス

展示場に亀
先日、当店脇の小さな側溝のすみで小ぶり目な亀のシルエットを見かけた。まさかと思いながらも近づいてみたが人影に臆する事無く亀は歩いていた。子供時代には亀を見つけて大騒ぎなんて事もあったが、まさか平成で野良の亀に会えるとは思わない、驚いた。そんな中、騒いでいる人間の事などおかまいなしに亀は水辺を進んでいく。しばらく眺めていると遠ざかった亀がまた黒いシルエットになった。 急に山や小川、自然のある所に行きたくなった。宿題の追い込みやら部活やらで忙しい子供達だが「まだ夏は終わってない」と訴えれば昭和の子供に付き合ってくれるだろうか。
縁貼り付け

大判タイル貼り付け前
今回の現場はテラスのタイル仕上げ。テラスと言ってもガラス張りのドアで仕切られているので内外が存在する。外側は階段になっておりタイルは既に貼り付け済み。 内外は数センチ高くなっているドアのレールで仕切られているが広いタイル貼りにアクセントをいれる手法はヨーロッパでは昔からあるやり方 。
色合いの良い白タイルをレール内側に貼り付けた。
イタリアンタイル
用意したタイルはRivieraの大判タイル。多くの外装床タイルは表面に細かい粒の突起があり、いわゆるザラザラとした表面で滑り止めとなっている。スリッパのような室内履きで歩けばすぐに裏面はボロボロになってしまうので一般的に雨の心配のない室内テラスは滑り止めなしツルツルタイル、外側だけ滑り止めのあるザラザラタイルと貼り分けられる事が多い。ここで一つ問題が生じる。タイルの使い分けは問題はないのだが実は同じ商品のタイルで滑り止め有、無がある物はかなり少ない。しょうがないので内、外と別々のタイルを使う事にするが大きさが違ったりデザイン的に統一感が欠けちぐはぐが生じてしまう事も少なくない。しかしこのRivieraのタイルはその粒状の滑り止めでは無く表面が細やかな石独特の凹凸が加工されている。つまり表面がザラザラしていないのに滑り止めはしっかり施されていているので、素足やスリッパ履きが可能。内外で同じタイルが使えるので統一感のある仕上がりとなるメリットがある。さすがは本場、イタリアンタイルのメーカーと言った所であろうか。
タイル貼り付け
いよいよ貼り付け。もちろん平坦に加工されたタイルだが僅かな歪みは必ず存在する。大判タイルであればなおさらとなる。基本、貼り付けモルタルの量の加減はタイルが凸凹にならない様、均一に塗り付ける精密さが必要となるが、僅かながらも沿ったり歪んだりのタイルがしっかり貼り付く様に若干貼り付けモルタルを多めに施し後々の剥離に対処している。よくある5mmより大きい目の櫛鏝が使い勝手が良い。
塗り付けた後は乾いて接着力が低下しない内に手早くビィブラートを使って細かな振動を与えながら圧着貼りを行う。ハンマー等を使った手作業での貼り付けと比べて短時間でより接着しやすい。
目地入れ
貼り付けが終わり、目地入れを行う。既に済ませてある外側のタイル目地は一般的な灰色を使ったが内側は雨などの汚れも少ないので目地の色は白を使った。ゴム鏝を使って丹念に奥までねじ込むように入れていく。
白目地
目地入れ完了。
タイルの貼りパターンに若干こだわっている。通常、長方形ものは半分ずらしのレンガパターンをよく見かける、外壁等でよく見かけあれだ。通常通り横方向に見る分には王道の良さがあるが、しかしあのパターンは多てから見ると実に面白くない。つまり壁面を横に見る人はいないので問題ないが多方向からみる場合、裏と表ができてしまう。そこで今回はどの方向から見ても同じ模様になるパターンをデザイン。色々な出入り、見る角度があるタイルテラスに適している貼り方の一つと言える。
拭き取り
屋根もあり少し曇りがちだったので油断した隙に目地材がかなり乾いてしまった。手で触るとカリカリしているほどで強度すら感じる。拭き取りに使うスポンジ2、3個だめにする思いで過呼吸気味に拭いだしたがいざやってみるとスーッとスポンジが走る様に動き思った以上に拭き取れる。滑り止めのツブツブ加工が無いおかげで動かしやすい。
普段、外タイルが多く滑り止め加工が当たり前なのでギャップが激しい。長い時間では無かったが中年が慌てた姿をしてたと想像しただけで耳が熱くなった。
貼り付け完了

外観 内外
これにて完成。
右から見ても左から見ても家の中から見ても床面は同じパターンに仕上がっている。 外側階段の蹴上はレール内側と同じ白いタイルを使用している。白は人気色の一つで多用されがちだが汚れが目立つ一面もあり使い勝手の難しい色ともいえる。 階段の蹴上部分は壁面となっているので床面に比べて汚れが付着にしくく長い期間が経過しても美観は損なわれにくい。
分かり易く見栄えのするデザインは華やかで多くの人を魅了する。 その一方でデザイン優先とは一線を画す中身のある、又は理由のあるデザインがあっても良いのではなかろうか。
童話では兎ではなく亀にスポットライトが当たっている。
休日、子供達には「地味だけど一歩一歩」と言って山歩きにいざないたい。



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