新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第181庭 植木移植 シャラ

趣味は何ですか?
まるでお見合いみたいと連想するのは古いだろうか。
音楽鑑賞、ドライブ、読書、スポーツなど様々なものがあると思うが一部の収集家にとって今年の2月は特別、らしい。
2022年2月2日・2022年2月22日、2並びが続くこの日付の入った物を収集する。例えば鉄道好きの方は切符に日付の印字を求め駅の各所を飛び回る。ネットオークションも賑わうのだろうか。
「その日だけ」、「2度と手に入らないお宝」の言葉に収集などした事が無い当方も魅力を感じた。
物にではなく収集家の情熱に。


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今回の現場は植木の移植。

動かすのはシンボルツリーとして人気のシャラの木。植木には通年、葉を茂らせる常緑樹と秋から冬にかけて葉を落とす落葉樹がある。シャラは後者で日本の四季を間近に感じられる特徴がある。特に春、一気に広がっていく新緑の若葉が魅力的だと感じる方は多い。

そんな落葉樹の移植だが葉のない休眠期に行う事で根への負担が少なく済む。新潟も含む寒冷地は霜の影響や表土が凍る事もあるので厳冬期は避けた方が良い。因みに今回の移植は11月に行ったものになる。
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掘り起こし前に根回りの石撤去。

↑左上、マルチング(根の乾燥対策)に使われていた人工芝。
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石や人工芝を撤去後、根回りの土を掘削。

株を中心に掘りつつ伸びた根は切断する。根鉢を維持したまま掘り上げる形が望ましい。
根の切断にはハサミ・ノコギリ・剣先スコップ等、鋭利な道具を使用する事で根に負担を掛けない様にしたい。根にとって長年活着した土が一番安定した環境となる。振動や衝撃などで根を覆った土が崩れないよう慎重に行いたい工程になる。

根を切る事で水の吸い上げる力は弱ってしまう。木も同様に弱らない様、その分の剪定・枝を落とす事で活力や栄養の消費を押さえる事ができる。
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↑左上、クレーンで吊り上げる為のバンド掛け。

↗右上、バンドをフックに掛けゆっくり吊り上げる。
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麻製の布と紐を使って根巻きを行う。

根巻きを行うことで乾燥を防ぎ根鉢の崩れ防止・となる。運搬・移動の際のストレス軽減になるので根巻きは積極的に行いたい。


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運搬後の移植の際、根巻きは基本そのまま植え込む。

今回の移植でこのシャラの木は根を切られた状態で運ばれ今までの生活環境と異なる場所で生きていく事になる。人間でいえば手術直後のお引越しだろうか。
根鉢を保護している根巻きは見た目以外に取り外す理由は一つも無い。今回使用した根巻きは麻製の布と紐。ビニールやプラスチック等と違い自然の者なのでそのまま植えてもやがて土中で分解される。
風等によって根鉢の動きが少なく済むよう根に土をかぶせる際、足で土を踏み固めたり棒で付き固める土極めを行う。このタイミングで「どうか枯れませんように」の願掛けもおススメだ。

これにて完了。
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2か月後。
年をまたぎ雪に覆われた新潟市内だが移植したシャラの新芽が膨らんでいた。

四季と共に落葉樹は姿を変化させる。
春の芽吹き、ごく自然の営みが少し枯れ始めた小男に生きる素晴らしさを毎年教えてくれる。

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