新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第121庭 小端積みで玄関前ゲート

先日、にいがた冬食の陣‘‘当日座‘‘が開催された。今年のテーマは「米」、そして25回目を記念して新潟で栽培されているお米の新品種「新之助」が振舞われていた。その他にもお店の前は多くの人で賑わっており何を食べようかと胸が高鳴った。
名前の通った有名店を含めて多くのお店が出店していたがその中に調理系の専門学校も店をだしていた。そこで甘酒を買い求めると売り子の学生さんから「すぐそこの校舎で学生レストランやパン・スイーツも販売してるので良かったら」と勧められる。聞くと調理から販売まですべて学生達によって行われているらしい。学生生活が短かった当方は専門学校を安易なイメージで捉えていたので学生達だけで実践的な所まで踏み込んでいる事に驚いた。パンを買ってみようと思い学校に行くと抑え目な値段とは対照的に意外なほど美味かった。学生達は職業実践が出来、それを多くの人が喜んで行列ができている、一石二鳥だ。
こんなレベルの高いパンをつくれる学生さん達が卒業してみんなが店をオープンさせたらまた米の消費が減っちゃうんじゃないかと余計な心配をした。
ゲート工事 仕上げ前
今回の現場は玄関前ゲートを天端から壁面まですべて小端積みの貼り物で仕上げる。小端積みは昔からある仕上げ方法の一つで石などの側面を見せる技法で変化に富む仕上げが特徴。ポピュラーな仕上げでは無いので自然と力んでしまうが、まずは高所作業がある安全第一でスタートした。
準備
下地に凹凸があると接着があまくなり重さに負けて貼り物が傾いたりずり落ちてしまう原因になるので脚立に昇り隅々まで念入りに確認、出ている部分は平のみを使って平滑にする。
積み上げ石
今回貼る石は小端(石の側面)が何枚か重なった様に加工された石を使う。
準備2
小端石をコンクリート躯体に合わせて加工する寸法を確認。
グラインダーで長さ調節
グラインダーで加工。
貼り付け
準備が整い再び脚立を慎重に上りいよいよ貼り付け。石と石の僅かな隙間から除く接着剤が見栄えが悪く無いように今回は石の色に合わせて白を用いている。石の接着は細かな振動を加えながら圧着できるバイブレーションガンを使う。
笠木準備
壁面の小端石を貼り終え次に天端の笠木を仕上げるていく。 朝、ゲートの上部を見ると凹みが凍っていた。ハンマーでたたきドライヤーで温める。
氷を除去しゲートの四角い天端に合わせて石を乗せていく。
天然石 白
笠の材料には白い天然石を使うがこちらも壁面と同じように2段ながらも側面を見せる小端積みで笠木を仕上げる。この中から笠木に見合う形の石を探す。
小口断面1
左がグラインダーで加工。右がハンマーやノミを使って割った側面。
側面を見せる小端積みなのでグラインダーを使って側面が平らに加工された石は使用しない。右側のざらざらとした石の表情がでているもののみを使用する。
しかし、天然石なので角ばった石は少なく見繕うが四角の笠にあう石は少ない。特に四角の角に使う90℃の石は一つもなかった。
グラインダー加工
そこで石を割る事にした。普通にハンマーやノミを使って叩いてもいびつに割れてしまう。欲しいのは直線的に割れた石なのでグラインダーを少しだけ使う。表面だけグラインダーの刃を入れその後ハンマーとノミで割る事で石の表情を出す。深く刃を入れては台無しなので慎重に行う。
石割り

小口断面2
天然石 貼りこみ
割った石を使い天端に使う。こちらも壁面同様しろのモルタルを使って貼りあげていく。
目地拭き取り
目地材をスポンジで拭き取る。
完成1
完成2
これにて小端積みゲートの完成。
ゲート上部の壁面からジャバラ状の白いチューブが出ているが最後に電線を入れLEDライトを設置する予定。ライトは工事後半の予定だが設置する際は再び脚立を昇っての高所作業になる。今回の作業で脚立に昇る時にわずかながらも体が重く感じ体重がふえている事にきづいた。
実は食の陣の後も食べていた。パンを買った専門学校の近くで「春節祭」と称して旧正月を祝う中国のお祭りをしていた。そこで食べた本場の汁なし担担麺が気に入り2杯平らげた。一緒に来ていた子供たちにかなり食べたから家まで歩いてカロリー消費しようと誘ったが屋根のある会場から出ると外は雨が降っていた。タクシーを使いたがる子供を説得して慣れないバスに乗った。
人もまばらなバスの中は滴った雨の匂いがしていた。後方に座ってスポーツの話を夢中でおしゃべりする学生風の集団がいた。若い人は一生懸命でよく笑う。何故か当店にいる職人見習い君を思い出した。若い彼にも先ほどの専門学生の様に学びの成果を実感させてあげなければいつも厳しくしてばかりでは可哀想だ。雨で少し濡れたせいかしんみりした気持ちになった。LEDライトを設置する時は痩せている彼に任せよう、体が軽いから少し太った者より高所でもリスクは少ない。多少の無理は否めないがこれも一石二鳥だ。学生たちを見ながらそんな事を考えていると娘に「よそさんをずっと見てるといけないんだよ」と小声で注意された。


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