新潟の小さな外構店が本気で目指す日本一の仕事への道のり!第117庭 石積みと植栽の庭

ラーバンテック展示場
先日、父の命日に実家を訪れてきた。食事時だったので多少時間をずらそうかとも思ったが、そこは実家の気軽さ驚かせない程度に元気な声で呼びかけながらドアを開けた。丁度用意ができた時だったらしくテーブルの上にはまだ手付かずの食事が並んでいた。 当方が10代で家から巣立った時は実家の食事に対して何の特別感も持っていなかったがあれから20数年、母が用意する変わり映えのない普通の食卓が懐かしかった。食事は済ませてきたからいいよと言いつつも食卓に上がっている物を次々につまんでいった。本当に変わらない味が嬉しくあれから何千何万と数えきれない食事をしてきたがこんなにも色濃く母の味が舌に残っていたのかと感動した。しかし近くに住んでいながらも今更おふくろの味に感じ入ってる事と家族が減って少し広く感じられるようになった家に住む母に申し訳ない気持ちになった。
ベースコンクリート

前回、舗石を紹介させて頂いた庭工事を引き続き仕上げていく。 まずは植栽スペースの為の石積みを行う。事前に石積みの下地となるベースコンクリートは打設しておいた。お気づきの方もいらっしゃると思うが前回の舗石にも下地コンクリートが使用されている。その時に一緒に打設、舗石が仕上がりようやく出番がまわってきた。
気良石
岐阜県産の気良石。少し古びた感じを漂わせる雰囲気だがむしろそれが品良く感じる。素材は良かったように見えたが積み込んだら「そうでもなくかった」と言われたら一大事。一見して角ばっている石が多かったので手間はかかるが石と石の隙間を少なくするように積めると思った。同じ大きさの石ばかり使わず色々な形、大きさの石をバランスよく使い積み込む算段だ。
積み込み

隙間を無くすため石と石の形を合わせて積む。画像右上の若干見切れているがその石の右手側の下部に石を挟めている。この石はそのまま使っては形が悪く石上部にに角が来てしまいその上に積む石が安定できない。ありがたいことに小さめの石も豊富にあったので石の下に入れることで角度を変えて上部と表面が平らにすることができた。一つ一つ違う形の石を組み上げるので形が合う合わないの喜びとストレスの静かな連続。
裏込め
石積みの背面に裏込めの砕石を入れ水抜きをよくして水圧を減らすとともに、石とのかみ合いにより石積全体の安定性を上げる。石積みの内側は植栽スペースになるので砕石と土が混ざるのでは好ましくないので土と砕石の間にシートを入れている。
石積み完成

整地
いよいよ植栽。土が山になっているが芝を貼る前準備に凹凸を無くすよう平らに均しておく。この整地をしっかり行っておくことにより芝を貼った後の仕上がりが格段に良くなる。凹んでいる場所は雨水が溜まりやすく、その状態が長く続くと芝の育成にも良くない。
植栽
庭仕上がり

このぐらいの広さになると使う芝はかなりの数になる。そんな大量の芝も意外と厚みがバラバラだったりする。事前に平らに均したが厚みが変われば結局凹凸が生まれてしまう。そこで芝と芝の隙間を無くすために入れる目土を芝の上に撒いてレーキ等を使ってさらに平らに均す。画像を見ればお分かりだと思うが凹んでいる部分に土が入るので部分的に芝が土に隠れ見た目が悪いが確実に平らになる。葉が土に潜った状態だが伸びて緑のじゅうたんになるまで少しの辛抱、決して土を取り除いてはいけない。
2週間後の庭の仕上がり
生えそろい始めた芝
2週間後に伺ってみると芝は生えそろい始めシンボルツリーの落葉樹はは色づき始めていた。つくりあげた舗石や積み石に植木と芝の緑が相まった光景をしばらく眺めていた。手がけた仕事が形となって眺めることができる、この商売の数少ない役得の一つだ。ふと後何回この瞬間を味わえるのだろう、何年眺める事ができるのだろうと考えが及ぶと小さいため息がまじった。こんな事を考えるのも亡くなった父の歳から自身の歳を引くと思っていたより年数が少なかったからだ。
父の事もあり健康的に過ごしたいと思い始め白米に麦を混ぜ始めた。最初こそやはり白米とは違うと感じたが最近では慣れてきたようで違和感はほとんどなくなった。高血糖・高血圧の母にも進めたいと思い話をすると既にもち麦を食べてると言い、少し高いけど美味しいの。あげるからもっていきなさいよとさえ言われた。「あんた、よくみるとシミが目立つようになったわね、パックでもした方がいいんじゃないの」と一人かん高く笑っていた。周りが持っているイメージとは違い母は元気なようでもち麦を手土産に安心して帰路に着いた。持たせてもらった紙袋を家内に渡すと「なにこれ」ともち麦の他に買い置きを入れてくれたのだろうか女性用の顔パックが入っていた。いくつになっても息子は息子と言ったところであろうか、親の愛情が素直に嬉しかった。
早速ありがたくも使用すると、亡き父と同じ太めの眉毛を八の字にして子供たちが笑っていた。


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